■「Xファイル ザ・ムービー/The X-Files: The Movie」(1998年・アメリカ)
監督=ロブ・ボウマン
主演=デヴィッド・ドゥカブニー ジリアン・アンダーソン ジョン・ネヴィル マーチン・ランドー
「Xファイル」はテレ朝で放送されてた頃に真剣に見ていたものだ。だいたい僕はUFO特番を見ることが昔っから大好きだった。「Xファイル」で扱われる題材やテーマはまさにそれだったし、その徹底した描かれ方に夢中になった。テレビドラマのクオリティを越えている!とテレビの前で一人で興奮しちゃって、配偶者に冷ややかな視線を浴びたことも。モルダー捜査官が政府の陰謀に立ち向かう姿。お目付役として配属されたのに次第にモルダーを理解し協力者となるスカリー捜査官。二人の活躍を手に汗を握りながら見つめていた。
本作はその劇場版第1作。Xファイル課存亡の危機に立たされるエピソードで、テレビシリーズをさらにスケールアップしたストーリーとなっている。細かいことを言えば粗探しができそうな映画だが、これはシリーズのファン向けに製作されたもの。そこを純粋に楽しめた人にこそ価値がある映画ですな。
テキサス州の地下で発見された未知のウィルス。このウィルスは異星人の侵略用のもので、感染すると体内にエイリアンを宿してしまうものだった。モルダーとスカリーはあるビル爆破事件に遭遇するが、被害者がいなかったはずなのに数名の報告があったことを疑問視する。モルダーの父を知るという医師(マーチン・ランドーが渋い好演)からの情報で、これには国家規模の陰謀が絡んでいることが判明。二人は事件を追うのだが、一方でFBIの審問会にかけられて二人が引き離されてしまう可能性が。事件をめぐるサスペンスと二人の運命に僕らはどきどきしてしまう。
劇場公開当時、モルダーとスカリーのキスシーンがあるとか、モルダーが巻き込まれたUFO事件の裏側が明らかになるとか、様々な情報が流れた。結論からいうとそれらは肩すかしをくらうようなもんだった。だが、そこはあくまでもシリーズのファン向けに製作された映画、決して飽きさせることはない。スカリーが謎のウィルスに感染してしまい、感染者を収容する南極の施設に送られるクライマックスから、物語は急に劇場映画らしいスケールで迫ってくる。感染者は異星人を育てるためにカプセルのようなものに収容されている。それらが無数に並ぶ地下秘密基地は、この翌年に製作される「マトリックス」の人間を収容するカプセル群を思わせる。単身、南極まで事件を追うモルダーに執念、そしてスカリーとの強い絆を感じさせる。もうここまでくると同僚というより、愛と信頼で結ばれている気がするな。事件を通じて、二人の絆がより強くなるラストシーン。あぁ、やっぱりこのコンビの活躍をもっともっと見たい!と思えるのだった。また再挑戦しようかな。
劇中、モルダーが「インディペンデンスデイ」のポスターを見ている姿が面白い。スカリーとモルダーがヘリコプターに追いかけられる場面はヒッチコックの「北北西に進路をとれ」のパロディなんだろか。そういえば、マーチン・ランドー出演作でもありましたな。
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