■「ガラスの墓標/Cannabis」(1969年・フランス)
監督=ピエール・コラルニック
主演=セルジュ・ゲンスブール ジェーン・バーキン ポール・ニコラス クルト・ユルゲンス
セルジュはやっぱりセルジュだった。役名もセルジュであったのだが、それでよかったのだ。だってこれがたとえ本名のリュシアンだとしても僕は納得できなかったろう。パブリックイメージのままのセルジュがこの映画の中にいる。それだけで存在感があるし、しかもエロ親父ぶり全開。この映画が製作された69年といえば、♪69 Annee Erotique(’69年はエロの年) という持ち歌が示す通り、ジェーン・バーキンとのアツアツぶりが世間で大きな話題となった年。この映画でも二人はカラんでくれる。セルジュはほとんどマグロ状態(まぁ手傷を負っている役だから仕方ないけど)で、手のひらでジェーンを愛撫する。かと思えば、服を脱いだジェーンに回れだの、そばに来いだの黙って指示を出し、上気した頬のジェーンを抱き寄せる・・・。何やってんのさ、あんたら。私生活もこうなのかぁと思わざるを得ないよねぇ。
・・・と羨ましい場面も満載(だってこの頃のジェーンかわいいんだもの!)なのだが、お話は殺し屋セルジュが依頼されたフランスのマフィア壊滅を基軸に、セルジュと外交官の娘ジェーン、セルジュの相棒ポールの奇妙な三角関係を描く。ポールはセルジュの殺しのパートナーなのだが、これがもう同性愛の匂いプンプン。ジェーンの為に足を洗おうとするセルジュを、ポールは組織にチクる。組織はセルジュを殺せと言う。逃げる二人、追うポール。ラストのカーチェイスは見どころだ。ポールを撃てないセルジュ、そして結末は・・・。フィルム・ノワールと言うよりも、破滅へとひた走るニューシネマのようないい雰囲気。それだけでグイグイ引っ張る演出で、ツッコミどころは多々あるけれど、その雰囲気で一気に最後までみせてしまう不思議な魅力の映画。警部役には「情事」のガブリエル・フェレゼッティ。音楽ももちろんセルジュ。
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