Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

5月のBGM

2014-05-31 | 音楽
2014年5月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■Rockbound Neighbors/水樹奈々
新作のアルバムも好評のようで、もうすぐ北九州でライブも控えた奈々さん。いつもこの人の声には元気をもらう。だから通勤中に聴く頻度が最近特に多くなってきた。1つ前のアルバムを今月はじっくり聴いた。アニソンらしい明るさと派手さとドラマティックなアレンジ。やっぱり好きだー。Bright StreamとSynchrogazerのカッコよさ、Lovely FruitsやHappy☆Go-Roundの明るさが楽しい。
ROCKBOUND NEIGHBORS

■Ultimate Pink Panther/Henri Mancini, various artist
映画「ピンクパンサー」シリーズと関連作品の楽曲を集めたサントラベスト盤。第1作「ピンクの豹」から未公開作まで使用されたヘンリー・マンシーニの楽曲やトム・ジョーンズ、ピーター・セラーズの歌声が収録されている。ボビー・マクファーリンが全パートを声で表現したヴァージョンは感涙もの。高校時代に聴いていたNHKFMの番組「夜のスクリーンミュージック」のテーマ曲だったThe Greatest Giftを収録。
Ultimate Pink Panther

■The Hit Parade/松本孝弘
B'zの松本孝弘がヴォーカルゲストと共に70年代から90年代のヒット曲をカヴァーした遊び心あふるるアルバム。ZARDの坂井泉水が歌う「異邦人」と宇徳敬子の「時に愛は」(オフコース)、クリエイションの「Spinning Toe-Hold」が好き。お祭り騒ぎのような「港のヨーコ」と、日本語英語な歌い回しの「パープルタウン」が好きになれない。ギターこそが主役なのでヴォーカルが埋もれている曲もあり、そういう意味ではやや残念。
THE HIT PARADE

■ルパン三世オリジナルサウンドトラック3/大野雄二
紙ジャケで再発売されたテレビシリーズのサントラ盤。第2シーズンの最後の時期、スウィングアレンジのテーマ曲「ルパン三世'80」とBGM、「カリオストロの城」の主題歌などを収録している。あの頃ティーンだった僕は、「'80」のアレンジに大人のカッコよさを感じたものだ。最後のED曲だった「ラヴ・イズ・エブリシング」(名曲!)は、今でも自分で演奏して歌いたい曲。挿入歌「しゃれた沈黙」は、町田義人の名作「戦士の休息」を思わせるカッコいいバラード。やっぱり大野雄二はカッコいい。
ルパン三世 オリジナル・サウンドトラック3(紙ジャケット仕様)

LOVE IS EVERYTHING - Noboru Kimura


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ブルー・ジャスミン

2014-05-31 | 映画(は行)

■「ブルー・ジャスミン/Blue Jasmine」(2013年・アメリカ)

●2013年アカデミー賞 主演女優賞
●2013年全米批評家協会賞 主演女優賞
●2013年ゴールデングローブ賞 女優賞(ドラマ部門)

監督=ウディ・アレン
主演=ケイト・ブランシェット サリー・ホーキンス アレック・ボールドウィン ピーター・サースガード

 セレブな生活を満喫していた主人公ジャスミン。夫がヤバい仕事に手を出していたことで、一転して庶民的生活を送る妹の家に居候することになる。ところが身についた生活スタイルというのはなかなか変えられないもの。歯医者の受付の仕事をするがなかなかうまくいかないし、彼氏を「負け犬」呼ばわりして妹には嫌がられている。なんとかして今の生活からセレブに返り咲いてやる。そんなチャンスをうかがっていたジャスミンにチャンスが訪れるのだが・・・。

 映画冒頭、ジャスミンは自分のことばかりをしゃべり続ける嫌な女だと観客には印象づけられる。そして彼女が自分をよく見せるためにつき続ける嘘の数々。勉強を始めてもいないのにインテリアコディネーターを名乗ったり、文化人類学者を名乗ったり。その姿は時に笑わせてくれるのだが、映画の最後には涙とこみ上げる感情でくしゃくしゃになったケイト・ブランシェットの顔が映し出されて、悲壮感でいっぱいになる。ウディ・アレンが時折撮るシリアスな作品は、何とも言えない苦い余韻を残してくれる。しかし「ブルー・ジャスミン」の前半は男と女の嘘つきゲームのような面白さから一転して、後半はシリアスな作風を思い出させる二本立て。ウディ先生の人間観察あっての脚本は素晴らしいのだけれど、近年のウディ・アレン作品のニヤリとさせる楽しさとは違う。それはケイト・ブランシェットあってのものだと思うのだ。

 ヒステリックに相手に罵声を浴びせ、自分の思惑に沿わないことは我慢がならない。いるんだよ、こういう人。自分もあんな言い方してるのかもしれないな。銀幕のこっち側で、そう感じた人は確実にいるだろう。陳腐な言い方かもしれないが、現実味があるヒロインなのだ。これまでのアレン映画のヒロインたちも確かに素敵だった。夫に浮気されても立ち直るミア・ファローや、独特なファッションで魅了してくれるダイアン・キートン。男を虜にするようなスカーレット・ヨハンソンの瞳も、感情がほとばしるペネロペ・クルスの凄みも素敵だった。しかし、それはスクリーンの向こう側で彼女たちに起こっていることを、僕らは観ていただけではなかっただろうか。「ブルー・ジャスミン」は、感情的なヒロインと生で接しているような圧力を僕らに感じさせる。感情の3D映画とでも言おうか。それはケイト・ブランシェットという女優を得たことで、これまでとは違ったヒロイン像が引き出された結果なのだろう。

 映画館を出るとき、後ろの席にいたおばちゃんグループから「泣けなかったわねぇ」という声が聞こえた。そりゃそうだ。セレブ返り咲きの恋は実りませんでした、という結末で、この映画のヒロインに同情することはできない。僕らはあまりにもジャスミンの嫌な面を知りすぎている。しかしそういう面を持ち合わせているのも人間だし、誰もが持ち合わせている一面なのかもしれない。おばちゃんが泣けないのはそれが理由だったのかもね。

 「アリス」や「ローマでアモーレ」では亡霊のような役柄だったアレック・ボールドウィンが、やっと実体として登場したのはアレン映画ファンとしては楽しい。うさんくさい男が似合うピーター・サースガードもいい仕事。


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