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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟

2015-05-16 | 映画(あ行)

■「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」(2014年・日本)

総監督=出渕裕
声の出演=小野大輔 桑島法子 鈴村健一 大塚芳忠 中村繪里子

 「宇宙戦艦ヤマト2199」テレビシリーズは僕らオリジナルを見ていた世代にとっても、若い世代にとっても支持されたシリーズだ。オリジナルの設定やストーリーや人物像を発展させ、武力のあり方や民族間の対立・共存といった現代的なテーマ、さらに女性隊員を増やして萌え要素まで加わり、毎回僕らをワクワクさせてくれた。その劇場版「星巡る方舟」は、完全オリジナルストーリーの新作である。映画冒頭、お馴染みの主題曲をバックにテレビシリーズでイスカンダルに到着するまでのエピソードの断片が次々に流れる。そうだよ、これだけの危機を乗り越えてヤマトはここまでやってきたんだ。そう思うと、もうこれだけで泣きそう(笑)。

 イスカンダルからの帰途にあるヤマトはガトランティスと名乗る艦隊の攻撃を受ける。「さらば宇宙戦艦ヤマト」世代なんで、白色彗星帝国につながる記憶が期待を膨らませてくれる。ワープして戦闘を回避しようとしたが、ヤマトは異空間に存在する謎の惑星にたどり着く。調査に降り立った古代進と隊員たちは、古びたホテルの様な建物の中でそこに時間と共に閉じこめられた人々に出会う。ホテルで向き合うその人々が、宿敵ガミラスの軍人たちだと観客である僕らは判って見守っている。そのドキドキ感。さらに時に隔てられた空間という設定がSFの名作「惑星ソラリス」を思わせるなんて、これは嬉しい誤算。派手なドンパチを期待した人もあったかもしれないが、これはこれでヤマト新シリーズが人間ドラマに重きを置いていることを再認識させてくれる。波動砲がスターシアの手によって封印されているだけに、どういう展開になるのか?とハラハラ。抑えに抑えたドラマが続いた後の艦隊戦のクライマックスに気分は最高潮に。

 アニメの劇場版はファンサービス。テレビシリーズ抜きには成り立たないものがどうしても多い。「ヤマト2199」はこの「星巡る方舟」公開に先駆けてテレビシリーズを古代進目線で再編集した劇場版「追憶の航海」をイベント上映した。初めて観る人でも、これで「星巡る方舟」に至るまでのストーリーは押さえられる。「追憶の航海」は、名場面に次ぐ名場面、見せ場に次ぐ見せ場が次々に登場するド派手な作品になっていた。水樹奈々の主題歌が流れるエンドロールをながめながら感じたのは、不思議な達成感(笑)。テレビシリーズ各回のエピソードのクオリティを改めて感じた。

 そして「星巡る方舟」。結末は触れずにおくけれど、これも旧作よりもより深みを増したガミラス側の登場人物の相関関係や民族問題を知ることで感動はきっと変わってくるに違いない。そして「ヤマト」を観て気分を高めてくれるのはなんと言っても音楽なのだが、これも宮川泰が遺した作品を、息子宮川彬良が引き継いでいることもこの作品に対する思いを強くさせる。「ヤマト」のスピリットは、銀幕の向こう側でもこっち側でも世代を超えるのだ。

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