■「裏切りのサーカス/Tinker Tailor Soldier Spy」(2011年・イギリス=フランス=ドイツ)
監督=トーマス・アルフレッドソン
主演=ゲイリー・オールドマン コリン・ファース トム・ハーディ トビー・ジョーンズ ベネディクト・カンバーバッチ
未見だった「裏切りのサーカス」やっと観た。
噂に違わぬ秀作。
これを今までスルーしていたとは、映画の神様ごめんなさいWW
マザーグースから引用された原題、
複雑な相関関係、
ミステリー要素、
そして心理戦のような展開に知的好奇心をくすぐられるし、頭を使う映画だ。
それ故に難解だという感想も多く聞かれるが、
そもそもジョン・ル・カレの原作はどれも複雑な構成のスパイ小説だし、国と国の諜報戦が単純なはずがない。
この映画は場面転換する前に次の前フリを入れていたり、
主人公のメガネは現在と回想場面では違うフレームになってたり、
複雑だけど分かり易くする工夫もみられ、むしろ良心的な作りの映画だ。
そして映像表現だけで人間関係や人物像を感じ取らせる巧さが絶妙。
「007」のように銃弾がドンパチ飛び交う派手さはない。
ここにあるのはスパイ戦の冷酷な現実、騙し騙される怖さ、
踏みにじられる個人の感情や思い、そしてそこに関わる者たちの孤独とエゴ。
映画終盤の一発の銃弾に込められた切なさはグッときた。
もぉー、今すぐ二度目を観たいっ!。
スウェーデン出身のアルフレッドソン監督は、
前作「ぼくのエリ 200歳の少女」(ハリウッドリメイク「モールス」もオススメ)も大傑作。
映画『裏切りのサーカス』予告編