■「ロスト・エモーション/Equals」(2015年・アメリカ)
監督=ドレイク・ドレマス
主演=ニコラス・ホルト クリステン・スチュワート ジャッキー・ウィーヴァー ガイ・ピアース
絶望的な未来観を持つSF映画は70年代によく製作されていたが、
2000年代に入ってディストピアが描かれる近未来SF映画は確実に増えている。
リドリー・スコットが製作総指揮したこの「ロスト・エモーション」もそのひとつ。
この映画、特撮をほぼ用いずに冷ややかな印象の未来社会を表現してみせる。
その為に、ロケ地として選ばれたのが日本の特徴ある建物なのだ。
安藤忠雄設計の淡路夢舞台や狭山池博物館を始め、独特な造形の建築物が舞台となっており、
セットやCGとは違い、ロケだからできるリアルな空気感が作品の緊張感を高めてくれる。
建築に興味がある人には是非オススメしたい映画。
地球の陸地の大部分が大戦争で失われた近未来。
わずかに生き残った人々は、感情を抑える遺伝子操作をして管理された共同体を形成していた。
感情を"発症"した者は治療、施設に送られて、最後は安楽死させられる。
雑誌を作成する部門に属するサイラスは、飛び降り自殺の現場に居合わせた女性ニアに興味を惹かれ、
次第に彼女へ抑えきれない気持ちを抱くことになる。
ニアも"闇発症者"であったことから親密な関係になり、
二人はこの共同体から脱出することを考えるようになるが・・・。
管理社会となった未来では人間の感情が抑えられるという設定は、別にSF作品では珍しいものではない。
白一色の衣装は、ロバート・ワイズ監督の「SFアンドロメダ…」や
ジョージ・ルーカス監督の「THX-1138」を思わせるし、
「華氏451」や「1984」、アニメの「ダーリン・イン・ザ・フランキス」を思い浮かべる方もあるだろう。
それでも「ロスト・エモーション」が他の映画とひと味違うのは、
舞台設定こそ似ているものの、突き詰めると普遍的なラブストーリーであることだ。
ラストのすれ違いなんて、まるで「ロミオとジュリエット」。
Equals | Official Trailer HD | A24
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