
◾️「レディ・エージェント/第三帝国を滅ぼした女たち/Les Femmes De L'Ombre」(2008年・フランス)
監督=ジャン・ポール・サロメ
主演=ソフィー・マルソー ジュリー・ドパルデュー デボラ・フランソワ マリー・ジラン
第二次世界大戦末期。連合国がノルマンディ上陸作戦を検討している頃、現地の調査を行ったイギリス兵がドイツ軍の病院に収容されていることが判明。看護婦でもあるスナイパー、ルイーズは、女性だけのチームで現地に乗り込み、救出する任務を下される。夫をドイツに殺されたばかりの彼女はこの任務を受け入る。メンバーは死刑囚の元娼婦ジャンヌ、爆発物の専門家ガエル、敏腕スパイでイタリア貴族の血を引くマリア、ナチス将校の元愛人だったスージー。慰問団を装って潜入し作戦に成功したが、彼女たちも知らない別の任務が隠されていた。それは彼女たちを過酷な状況に追い込んでいく…。
本作は実話の映画化。彼女たちの弱みにつけ込んで任務を押し付けてくる理不尽な軍のやり方に怒りを覚える。諜報活動の専門家でもない彼女たちが懸命に任務を遂行しようとする過酷な後半は重いムードで涙を誘われる。戦争がいかに悲惨なことなのかを思わざるを得ない。
「さよならモンペール」のマリー・ジランが演じたスージーは、まんまと軍に利用された立場。かつて愛した人に銃口を向ける切ない表情はたまらない。「タイピスト!」のデボラ・フランソワが演じるガエルは、ナチスに捕まって拷問にかけられる。彼女の最期は悲しくも神々しい美しさで強く心に残る。そして主役のソフィー・マルソーは、むかーしのムチムチした印象からアクション不向きと勝手に思われがちだが、ライフルを手にする彼女の凛とした表情にその思いは覆される。個人的にお気に入り女優のいい仕事。これが劇場未公開とはもったいない。