◾️「スネーク・アイズ/Snake Eyes」(1998年・アメリカ)
監督=ブライアン・デ・パルマ
主演=ニコラス・ケイジ ゲイリー・シニーズ ジョン・ハード カーラ・グギーノ
ハリケーンが迫る中、アトランティックシティで行われたボクシングのヘヴィ級タイトルマッチ。観戦に訪れていた国防長官が暗殺される事件が起こる。汚職を繰り返していた悪徳警官リックが事件に巻き込まれる。その裏には手の込んだ陰謀が・・・。
事件の真相、犯人は映画中盤でしっかり示されてしまうので、犯人探しのミステリーを求めてこの映画を選んだ人は拍子抜けしてしまうかもしれない。だけどこの映画は前半に散りばめられた伏線回収の面白さと、デ・パルマ監督らしい演出テクニックこそが魅力。
十数分に及ぶ冒頭の長回し。デ・パルマ監督作ではよく観られる長回しだが、「スネーク・アイズ」では、スタジアムという限られた空間の状況を観客に理解させるの使われている。スプリットスクリーン、防犯カメラの映像。各部屋の様子を俯瞰で撮る演出は、まさにデ・パルマらしい"覗き"の視点。監督のヒッチコック好きは有名だけど、本作ではやりたい放題の印象だ。
興行的には失敗したと聞く。犯人探しを期待すると呆気ないし、悪徳警官が心を入れ替えるスカッとした話ではない。しかもこの事件で活躍して表彰までされたのに、過去の悪事が暴かれて、汚れた英雄たる主人公は"別荘"行きになる結末まで用意されている。それでも事件で救った女性だけは彼を慕って、別れのキスをしてくれるラストはひとつの救い。
世間の評価は低い映画。だけど、万人ウケする娯楽作になりそうもないスカッとしないストーリーを、これだけ面白がらせてくれるのは、デ・パルマ監督の見せ方の巧さがあるからじゃないのかな。
あ、あの場面そういうことなのかっ!と分かった瞬間の快感が楽しい。豪雨、レポーター、危うげな球状の物体、スパイの様な小道具などなどが後半のストーリーに絡んでくる。特にエンドクレジットで、意味深に延々と映される作業の様子。最後に見えるものにビビッ!とこなかったら是非2回目をww