◾️「カツベン!」(2019年・日本)
監督=周防正行
主演=成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 井上真央
監督=周防正行
主演=成田凌 黒島結菜 永瀬正敏 高良健吾 井上真央
「日本映画の歴史にサイレント映画の時代はなかった」と、映画監督の稲垣浩の言葉がラストに紹介される。無声映画時代には、活動弁士が映画に説明を加え、お囃子が生演奏で添えられ、弁士の名調子が人気を博していたからである。映画「カツベン!」はそんな時代に、少年時代から弁士に憧れた主人公が巻き込まれる騒動の顛末を描いたお話。
周防正行監督作のコメディ路線は、題材の選び方は気が利いている。僕らに馴染みがない世界に連れて行ってくれる。この映画に描かれるくらいに個人の人気や人材の奪い合いめいたことがあったんだろうな。
芸達者なキャストが話を盛り上げてくれるのも楽しい。役者気取りの売れっ子弁士役の高良健吾。彼はブレない役が多く、自分の意思に真っ直ぐなキャラクターを演ずることが多い人。この映画でもそれは貫かれていて、徹頭徹尾いけ好かない。それだけに成田凌とのタンスを挟んだやりとりが楽しくって。こう言う笑いってドリフのコントならやりそうだけど、近頃目にしないからちょっと嬉しくなった。主人公の幼馴染みのヒロインは、唯の介もとい黒島結菜(ドラマ「アシガール」大好きだったんでお許しを😝)。個性が際立ったキャストの中で大健闘でしょ。井上真央のモダンガール振りも、竹野内豊の活動好き刑事も素敵だ。
でも映画ファンとしていちばん心を打たれたのは、飲んだくれの元スタア弁士を演じた永瀬正敏。弁士をやっていながら、「映画は映画で完成したもの。それに無駄な説明をつけるのは間違いだ」と言い放つ。映画の将来を見通し、そして映画という作品を愛している存在に見えた。また、周防監督は劇中上映される「金色夜叉」や「椿姫」を再現した映像を撮って使う念の入れよう。それも過去の作品への敬意なんだろう。エンドクレジットではサイレント時代の名作「雄呂血」の本編映像が流れるので、最後まで貴重な映像を観るべし。
まあ、全体的には期待通りの出来かと。活動写真でみんなが楽しんでいた一体感が映画前半では感じられたのだが、後半になって映画を観ることの幸福感が薄れてきて、結局は弁士の喋りあっての楽しさに落ち着いてしまったのがやや残念。
周防正行監督作のコメディ路線は、題材の選び方は気が利いている。僕らに馴染みがない世界に連れて行ってくれる。この映画に描かれるくらいに個人の人気や人材の奪い合いめいたことがあったんだろうな。
芸達者なキャストが話を盛り上げてくれるのも楽しい。役者気取りの売れっ子弁士役の高良健吾。彼はブレない役が多く、自分の意思に真っ直ぐなキャラクターを演ずることが多い人。この映画でもそれは貫かれていて、徹頭徹尾いけ好かない。それだけに成田凌とのタンスを挟んだやりとりが楽しくって。こう言う笑いってドリフのコントならやりそうだけど、近頃目にしないからちょっと嬉しくなった。主人公の幼馴染みのヒロインは、唯の介もとい黒島結菜(ドラマ「アシガール」大好きだったんでお許しを😝)。個性が際立ったキャストの中で大健闘でしょ。井上真央のモダンガール振りも、竹野内豊の活動好き刑事も素敵だ。
でも映画ファンとしていちばん心を打たれたのは、飲んだくれの元スタア弁士を演じた永瀬正敏。弁士をやっていながら、「映画は映画で完成したもの。それに無駄な説明をつけるのは間違いだ」と言い放つ。映画の将来を見通し、そして映画という作品を愛している存在に見えた。また、周防監督は劇中上映される「金色夜叉」や「椿姫」を再現した映像を撮って使う念の入れよう。それも過去の作品への敬意なんだろう。エンドクレジットではサイレント時代の名作「雄呂血」の本編映像が流れるので、最後まで貴重な映像を観るべし。
まあ、全体的には期待通りの出来かと。活動写真でみんなが楽しんでいた一体感が映画前半では感じられたのだが、後半になって映画を観ることの幸福感が薄れてきて、結局は弁士の喋りあっての楽しさに落ち着いてしまったのがやや残念。