◼️「王妃マルゴ/La Reine Margot」(1994年・フランス)
監督=パトリス・シェロー
主演=イザベル・アジャーニ ヴァンサン・ペレーズ ダニエル・オートゥイユ ジャン・ユーグ・アングラード
16世紀のフランス。ユグノーと呼ばれたプロテスタントとカトリックの宗教対立が激しさを増していた時代。国王の妹であるマルゴとプロテスタントの指導者であるナバラ王アンリの政略結婚により事態を収拾しようとした。映画はその婚礼から始まる。婚礼に列席するため、多くのプロテスタントが街に溢れていた。国王が頼りにしていたコリニー提督が何者に襲われる事件が起き、それは数万の人々を巻き込むサン・バルテルミの虐殺事件へと発展し、ナバラ王アンリは捕らえられ改宗を迫られる。しかしアンリやプロテスタントの貴公子ラモールを陥れようとする国王の母后の策が思わぬ事態を招くことに。
イギリス史ならまだしも、中世フランス史は世界史の授業でも馴染みがないパートだ。この映画で描かれる対立の構図や利害関係をきちんと理解するには、ちょっと予習が必要かも。僕も再生ボタンを押す前に、ユグノー戦争からナントの勅令までのフランス史を復習した。世界史の授業で使う資料集は映画鑑賞にとても役に立つ。皆さまも是非お手元に。
血塗られた宗教対立の歴史を描いたこの映画は、その歴史的事実がいかに悲惨なものだったかをこれでもかと鑑賞者に叩きつける。虐殺事件の翌日道の端に絶え間なく続く死体、その死体が集められて穴に埋められる様子、切り裂かれる皮膚から飛び散る血しぶき。信条が違うことが、こんなにも憎しみを生むものなのか。その悲惨さを思い知らさせる。
そしてラストは、ギロチンで死刑となった愛人の遺体を前に佇む王妃。現実なら目を背ける光景なのに、美しい絵画を見ているかのように心に焼き付けられるのだ。
全体的に暗い場面が多いし、男たちが国王を除いてみんな黒っぽい装束。何が起こっているのか分かりづらい面もある。だがそれだけに、イザベル・アジャーニの白い肌と、凛とした表情が映るだけで空気が変わる。仮面をつけて男漁りをする場面や、プロテスタントの貴公子を手当てしながら白い衣装が血で染まる様子までもが美しい。
イギリス史ならまだしも、中世フランス史は世界史の授業でも馴染みがないパートだ。この映画で描かれる対立の構図や利害関係をきちんと理解するには、ちょっと予習が必要かも。僕も再生ボタンを押す前に、ユグノー戦争からナントの勅令までのフランス史を復習した。世界史の授業で使う資料集は映画鑑賞にとても役に立つ。皆さまも是非お手元に。
血塗られた宗教対立の歴史を描いたこの映画は、その歴史的事実がいかに悲惨なものだったかをこれでもかと鑑賞者に叩きつける。虐殺事件の翌日道の端に絶え間なく続く死体、その死体が集められて穴に埋められる様子、切り裂かれる皮膚から飛び散る血しぶき。信条が違うことが、こんなにも憎しみを生むものなのか。その悲惨さを思い知らさせる。
そしてラストは、ギロチンで死刑となった愛人の遺体を前に佇む王妃。現実なら目を背ける光景なのに、美しい絵画を見ているかのように心に焼き付けられるのだ。
全体的に暗い場面が多いし、男たちが国王を除いてみんな黒っぽい装束。何が起こっているのか分かりづらい面もある。だがそれだけに、イザベル・アジャーニの白い肌と、凛とした表情が映るだけで空気が変わる。仮面をつけて男漁りをする場面や、プロテスタントの貴公子を手当てしながら白い衣装が血で染まる様子までもが美しい。
Queen Margot Official Trailer (2014) HD