◼️「007/美しき獲物たち/A View To A Kill」(1985年・イギリス)
監督=ジョン・グレン
主演=ロジャー・ムーア クリストファー・ウォーケン タニア・ロバーツ グレイス・ジョーンズ
リアルタイム世代としてはいろいろ思い入れのある映画。個人的な好みとして喜ばしいポイントがいくつもあった。まずは悪役がクリストファー・ウォーケンであること😆。「ディア・ハンター」に感激した者としても嬉しかった。また、オスカー受賞歴がある華のある俳優の出演は、渋いキャスティングが多かったこれまでとは違う。一方でグレイス・ジョーンズをキャスティングしたのは、時代を焼き付ける上でも重要な要素。
そして主題歌がデュランデュラン!😆😆。実力派が並ぶ歴代歌手は素晴らしいが、やっぱり英国産が欲しい。そこに純英国産、流行りのニューロマンティック路線。ボンド映画ぽさと当時の電子音が融合する大好きな主題歌だ。ベースのジョン・テイラーが映画好きだったから実現したと聞くとますます嬉しい。そもそもバンド名は「バーバレラ」由来、ヒッチコック映画由来の楽曲もあるくらいだし。
しかしながら。正直なところ、作品自体は歴代ボンド映画の中でもあまり好みではない。理由はいろいろある。ベッドシーン以外はスタントマンと揶揄されたロジャー・ムーアは相変わらずだったし、タニヤ・ロバーツは「ポパイ」のオリーブ級に悲鳴あげてるだけの存在にしか見えなくて。それでもエッフェル塔での立ち回りも、サンフランシスコの派手なカーチェイスも、ラストのゴールデンゲートブリッジの格闘場面も、娯楽映画としては一級品。今回改めて観ても手に汗握る。え?今は更年期だから?るせー💢
どちらかというとハード路線の007が好き。冒頭のビーチボーイズが流れるアクション場面は楽しいけれど、そこで笑いは欲しくない。でも、この冒頭の軽いツカミがロジャー時代らしさでもある。プレタイトルの場面はストーリーの導入に使われることが多いけれど、本筋が始まる前に派手に見せつけるこの演出は、後の多くのエンターテイメント作品や、現在の「ミッション:インポッシブル」にも受け継がれているとも言えはしないか。ロジャー=ボンド時代は、後の娯楽映画のフォーマットを形造る役割を果たしていたのかもしれない。
公開当時、ロジャー・ムーアはもうボンド役者としては年齢が高すぎる、若いおねいちゃんたちがなびく役は観客が納得できない、めいた意見もあった。あの頃は僕もそう思っていた一人でもある。
しかしだ。撮影当時のロジャー・ムーアの年齢を知って考えを改めた。だってもうすぐその年齢に自分がなっちゃうんだもの!😨。ハードなアクションに挑むトム・クルーズは活動写真屋(古い言い方ですみません)として尊敬するが、いやいや、本作のロジャー・ムーアだって(背景が合成だと分かっていても)できる限りのことをやっているじゃない!少なくとも、ボンド役者が観客の夢を壊さないように頑張ってるじゃない!そう思うと「美しき獲物たち」がちょっと愛しくなってきたのでしたw。
最後にひと言。脇役にドルフ・ラングレン発見!(嬉)