◼️「スタンド・バイ・ミー/Stand By Me」(1987年・アメリカ)
監督=ロブ・ライナー
主演=ウィル・ウィートン リバー・フェニックス コリー・フェルドマン ジェリー・オコンネル
2023年12月13-17日に開催された北九州国際映画祭。「あなたの青春の一本」とのアンケートに、多くの人が答えた作品も上映された。30-59歳の層でNo.1だったのが「スタンド・バイ・ミー」とのこと。僕も大学時代に観たっきりだ。久々に観たくなって北九州芸術劇場にて再鑑賞。
この映画を公開当時に観た頃、街の映画館では子供を主人公に据えた映画あれこれ上映されていた印象がある。ウディ・アレンは「ラジオ・デイズ」、スピルバーグ は「太陽の帝国」、おどろおどろしい作品のイメージがあるジョン・ブアマン監督までもが「戦場の小さな天使たち」、みんな子供の話。どれも世間の評価も高い映画だったけれど、どの作品よりも僕らの心に強く心に残ったのは、間違いなく「スタンド・バイ・ミー」だった。
登場する4人の少年たちに共感できるポイントが観る人それぞれにある。亡くなった兄への劣等感、家庭環境のせいで不良扱い、憧れである父親から受ける虐待、臆病な自分への苛立ち。自分を肯定できない気持ちを抱える4人は、この短い旅の中で新たな面を発揮したり、本音を口にしたり、感情を露わにしたり。それは小さいけれど確かな成長につながっていく。
ゴーディとクリス、その後も信頼関係が続いたと語られるラスト。大学時代に観た時は、そういう友達との関係を今でも自分は大事にできているだろうか、と半ば反省するような気持ちになったっけ。今回改めて観ると、作家になったゴーディが訃報を知って過去を振り返る様子が胸にしみる。それをリチャード・ドレイファスが演じているのもいいキャスティング。ゴーディの亡くなった兄はジョン・キューザックだったのか😳。フットボールでの活躍を鼻にかけることなく、弟に優しく接してくれるいい兄貴。今観ると、これもいいキャスティングだな。
そしてベン・E・キング御大のStand By Meが心に沁みる。単純だけど印象深いベースライン、シンプルな循環コードだけで、こんなに世代を超えて愛されている名曲。ジョン・レノンやモーリス・ホワイトのカバーも素敵だけれど、キング御大の"そばにいてよ"と繰り返されるフレーズを聴くと、僕ら世代はどうしてもこの映画の場面とシンクロさせてしまう。あの頃そばにいてくれた誰か。自分を励まして理解してくれる誰か。みんなわかってくれる誰かにそばにいて欲しいんだ。87年にはリバイバルヒットしたんだよな。映画祭の上映では、地元高校放送部による前説があり、このエピソードをちゃんと紹介してくれたのは嬉しかった。古い歌だけど、この映画のおかげで僕ら世代にとっては、忘れられない一曲でもあるのだから。