Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

パリタクシー

2024-12-12 | 映画(は行)


◼️「パリタクシー/Une belle course」(2022年・フランス)

監督=クリスチャン・カリオン
主演=リーヌ・ルノー ダニー・ブーン 

昨年の劇場公開時に見損ねて以来、気になっていた作品。できれば映画館で観ておきたかった。でもパリの地図を広げて自宅で観るのも楽しいかもしれない。どれだけのドライブだったのか、どれだけ寄り道をしたのかがよくわかるかもw

感動ポイントや泣かせどころがいわゆる"人情"にある映画ってあれこれある。そういう映画を観るたび、若い頃の僕は"教科書のような優等生の映画"とちょっと距離を置くような感想を口にしていた。でも決して嫌いじゃない。今思うと、ヒネリのある作風を好んで観てた時期だったし、それ以上に王道の感動をくれる映画をちょっとくすぐったく思ってたのが本音かもしれない。

もし「パリタクシー」を若い頃に観ていたら、多分似たような感想だったかもしれない。ばあさんの思い出と心優しいダメ男が生き方を改める物語。(回想以外は)善人しか出てこないとか言われるかもしれない。でも、そんな作風がなんか心地よい。歳とったせいかもしれない。世知辛い話題ばかりの毎日にちょっと疲れているから、2時間ばかりホッとできたのが嬉しかったのだろう。

されど、途中に挟まるばあさんの回想シーンは、観ていて辛い場面も多い。ひとつ挙げるなら暴力的な夫に耐えたマドレーヌが選んだ激しい仕返し。大昔の映画なら、何をやったのかセリフだけで品よく流しちゃいそうなものかも。でもビジュアルとして見せることで、彼女が抱えていた怒りはバーナーの炎よりもさらに激しいものだったと観客に示してくれるのだ。

全編を通じて心に残るのは、主人公シャルルが次第に穏やかな言動になっていく姿と老婆マドレーヌの柔らかな笑顔。予想を超える映画ではないけれど、じんわりと心を温めてくれる幸せな結末が待っている。今の年齢で「ドライビング・ミス・デイジー」を観たら、あの頃とは違った感想になるのかな。

ひと言言わせて。
邦題はなんとかならんのかい💢



コメント (2)
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