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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

華麗なるアリバイ

2024-09-20 | 映画(か行)


◼️「華麗なるアリバイ/Le Grand Alibi」(2007年・フランス)

監督=パスカル・ボニゼール
主演=ミュウミュウ ランバール・ウィルソン ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ アンヌ・コンシニ

アガサ・クリスティの「ホロー荘の殺人」の映画化で、ジャック・リヴェット作品などで知られる脚本家パスカル・ボニゼールが監督を務めた作品。原作は名探偵ポワロシリーズの一つで、週末を過ごしにある屋敷に集まった人々の間で起こった殺人事件と、その裏にある愛憎劇を描く。

クリスティはこのストーリーにポワロは合わなかったと後に語っていたそうだ(Wiki参照)。そのせいなのか本作ではポワロは登場しない。さらに殺されたピエールに登場人物の誰もが何らかの恨みや因縁がある設定となっており、「オリエント急行」や「ナイルに死す」同様に観客の疑いの矛先が定まらない改変がなされ、物語の幕切れも原作とは異なる。本作については、確かに名探偵に観客をリードしてもらうよりも、登場人物それぞれのアリバイに観客が惑わされ、そうだったのか!と騙される方がスッキリするように思えた。

されど、邦題のような華麗なアリバイとは思えなかったのだが。

キャストはヨーロッパ映画で活躍するメンバーだが、他のクリスティ有名作の映画化と比べるとどうしても地味。被害者ピエールを演じたランベール・ウィルソンはほんっと口先だけの男で、「9人の翻訳家」同様の憎まれ役。屋敷の奥様ミュウミュウは事件に怯えている割にどこか軽さがあってちょっと物足りなかった。ピエールの愛人でもある芸術家エステルは、フランソワ・オゾン映画でもちょくちょく見かけるヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。事件を引っかきまわすお色気ムンムンのイタリア女優には、「007/カジノロワイアル」にも出演していたカテリーナ・ムリーノ。女たちの間でフラフラしながら事件の核心にたどり着く冴えない作家が「カンフー・マスター!」の少年だったマチュー・ドミ。

クリスティ作品のバリエーションとして楽しむにはよろしいかと。「名探偵ポワロ」シリーズの「ホロー荘の殺人」でポワロが加わるものと比べるのもよき。





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