Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

マドンナのスーザンを探して

2023-12-07 | 映画(ま行)


◼️「マドンナのスーザンを探して/Desperately Seeking Suzan」(1985年・アメリカ)

監督=スーザン・シーデルマン
主演=ロザンナ・アークエット マドンナ エイダン・クイン マーク・ブラム 

高校3年の頃。「ベストヒットU.S.A.」でBorderlineのPVを見て、マドンナのファンになった。本作はちょうどLike A Virginで大ブレイクする直前の出演作。ダンスフロアの場面とエンドクレジットで流れる主題歌は、大好きだったInto The Groove。この映画を当時観る機会がなくて、今回が初鑑賞である。

夫とのすれ違いが続くロバータは、新聞に個人が出している広告(日本風に言う一行広告ってやつね)が気になっていた。恋する相手に宛てたものもある中で、"必死にスーザンを探している"に目を引かれた。恋の現場を目にできるかも!と広告に書かれた待ち合わせ場所に向かうと、派手なジャケットの女性スーザンがいた。彼女が気になって後を追い始めたロバータは、スーザンが古着屋に売ったジャケットを購入する。スーザンはエジプトの秘宝のイヤリング盗難事件の犯人に関係していて、そのお宝を狙って追っ手が彼女に迫っていた。スーザンのジャケットを着たせいで、人違いされたロバータ。彼女は転倒した時に頭を打ち、記憶を失ってしまう。

お気楽なサスペンスコメディと思っていたら、単純な追いかけっこではなく、話がかなり混みいっている。スーザンに間違われたロバータを、犯人、ロバータを探す夫、スーザンが追いかける。そして、スーザンの恋人の友人デズとのラブコメ展開で、事態はさらに複雑になる。ロザンナ・アークエットがずっとあたふたしてる前半は、どうなることかと冷めた目で見ていたのだが、マドンナ演ずるスーザンがことの次第に気づいてからは、すれ違いに次ぐすれ違いがなかなか面白い。

ピチピチしていた頃のマドンナが、黒い下着姿を見せつけてくれる。デズが住むアパートの壁に、カンフー映画のポスターがでっかく描かれているのが気になる。少林寺ものっぽいけど何の映画だろ?




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青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない

2023-12-04 | 映画(さ行)

◼️「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」(2023年・日本)

監督=増井壮一
声の出演=石川界人 瀬戸麻沙美 久保ユリカ 東山奈央

青春ものにありがちなのが親の不在というシチュエーション。あだち充の「みゆき」、「エロマンガ先生」のように兄妹が二人暮らしになる背景を一応説明しているものもあれば、家計がどうなってるのか不明な「みなみけ」、最後の最後に唐突に親が現れる「けいおん!」もある。でも、あの年頃にとって親は主人公がやりたいことへの障害(例えば「俺妹」)だったり、過剰な期待を押し付ける身近な圧力(例えば「ガルパン」)だったり、大きな存在である。それは現実でも同じだ。

「青春ブタ野郎」は主人公梓川咲太を中心とした複数ヒロインものだが、いわゆるハーレムアニメではない。彼女たちのトラブル解決のために奔走する彼の活躍が、ヒロインたちを笑顔にしていく。とんでもない危機も苦労もあるけど、異性の友達があんなにいて居心地のいい世界なのは間違いない。本作は咲太自身の思春期症候群にまつわるエピソードだ。

テレビシリーズの桜島麻衣のエピソードでは、世間の誰も自分の存在を認識しない事態が描かれた。今回、その状況に陥るのは咲太自身だ。それも家族から認識されなくなり、世界から認識されなくなる。これまで本編に登場しなかった母親は、妹の世話を咲太が押し付けられた原因でもある。母親を頼ることのできない存在だと咲太が心のどこかで思っていたことが、今回のトラブルの引き金となる。そして、彼はこれまでのヒロインに囲まれた平穏な世界と、彼が認識されない世界との間をさまようことになる。そんな主人公最大の危機を救うのが…。

身近な人のことを、知ってるつもりで何も知らない。それは無関心だったり、意識の中で存在を消すことでもある。青春時代に仲間や異性といることが楽しくて、居心地がよくて、身近な存在である家族が目に入らなかったり、気が回らなかったこと。誰しもがあることだ。それを一風変わった話に仕上げた本作。でも実は普遍的なテーマでもある。親不在になりがちな青春もので、家族の再生が描かれるのは実は立派な試み。それを兄妹の劇場版2部作としたセンスがいい。

今回もヒロインたちが素敵だ。推しの桜島麻衣はやっぱりサイコー♡。皮肉混じりの二人のやり取りが好き。咲太の相談役であるリケジョ双葉理央も頼れる存在で好き。今回も落ち着いた喋りでアドバイスをくれる、淡々とした種崎敦美の台詞まわし。僕の脳髄はフリーレン様と重ねてしまったww。 




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翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜

2023-12-02 | 映画(た行)

◼️「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」(2023年・日本)

監督=武内英樹
主演=GACKT 二階堂ふみ 杏 片岡愛之助 藤原紀香 

2019年。マーチン・スコセッシ監督がアメコミ映画に対して「映画ではない」発言をして物議を醸した。その発言は「人間の感情、心理的な経験をまた別の人間に伝えようとする映画ではない。テーマパークだ。」と続く。しかしだ。エンターテイメントたる娯楽性と、経験や日常を踏まえた人間の感情を描くことが共存できる映画はある。

地域格差がもたらすコンプレックスと憧れ、偏見、ヒガミという感情で我々観客の共感を呼びながら、一方でまさにテーマパークのような楽しさと呆れるほどのくだらなさが共存する映画があるではないか。そう!他ならぬ「翔んで埼玉」だ。こんなこと言うと硬派な映画ファンのお叱りを受けそうだけど、僕は心底そう思った。あ、魔夜峰央の熱烈ファンでもありますけどねw。

その「翔んで埼玉」まさかの続編。原作者までもが「正気か?」とおっしゃったクレイジーな企画。今度は関西を舞台に埼玉解放戦線と滋賀、そして和歌山と奈良が絡んで、大阪府知事が企む日本大阪化計画に立ち向かう物語。映画冒頭から突飛なエピソードが続く。もちろんご当地ネタも満載なのだが、さんざん笑わせてくれながらも、前作同様そこにきちんと愛がある。交通安全啓発の"とびだしとび太"にこんなに笑わされて、クライマックスで感動させられるなんて、誰が想像しただろう。人気ハリウッド映画のパロディ、テレビでおなじみの人気者の出演。確かにあざとい笑いの誘い方。さすがテレビ局資本の愚作、と罵る方もあるだろう。でも、しっかりそれに釣られて笑顔になってる自分に気づく。

閑話休題。
僕らは日々の生活で"大阪化"を感じたことはないだろうか。方言において英語のveryにあたる言葉は、九州北部だけでも、はうごつ、まうごつ、だごんごつ、しんけん、てーげ、たいげなetc、と色とりどり。ところが関西のめっちゃは今や全国区。ツッコミやボケの言葉なんて、日々何気なく使われている。大嫌いだったかつての上司は博多弁でまくしたてた後で「知らんけど」を付けてイラッ💢とさせるし、商談のために怪しげな関西弁を駆使する上司もいた。いいんかのぉ、こげなんで。九州人ちプライドはねぇんか(素が出ている💧)。あ、私ごとでございましたw。

ジョーカーを思わせる衣装の大阪府知事が、人々を大阪化する白い粉を撒き散らそうとするクライマックス。通天閣に笑い転げたけれど、その笑いの根底には、世の大阪化をどこかで感じてる気持ちがある。田舎育ちのヒガミ根性があるから、この映画を面白いと感じちゃうのかなぁ。確かに関西の粉もん文化を大スケールで茶化してはいるけれど、ちゃんとそこには愛がある。原作にはないストーリーを見事にでっち上げてくれました。埼玉ポーズと滋賀県の県章が重なるのにグッときた。あー楽しかった。コロナ禍を経験して鬱憤溜まってるニッポンをちょこっと笑顔にしてくれる。

滋賀のオスカルを演じた杏ちゃん。今年は「キングダム 運命の炎」でも大活躍だったし。
「煮るなり焼くなり抱くなりして♡」😆
映画観た日の夜、とび太が夢に出てきたって人絶対いるだろなww。もし続編があるなら次はどこをディスってくれるだろ?。でもディスられるのが羨ましいとすら思える。
それも愛。たぶん愛。きっと愛。




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