古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

「母のいる島」、「おやすみラジオ」    高山羽根子

2022-02-15 22:04:05 | 小説の紹介

創元SF文庫   2014年

 

「母のいる島」

 

SFとはリアルとのせめぎ合いとも言えると思うのだが、この

 

短篇の設定15人姉妹の女だけってのはいかにもムリがある。

 

ここまでいくと、まずその時点で話しに入っていけない。リア

 

リティは大事だ。いかに不思議なことをリアルっぽく書くかが

 

テクニックとして試されると思うのだが。ここは妥協して「六人」

 

くらいでも良かったのではないかと思うのだ。話しを過剰に

 

し過ぎるのが、この人の悪いところだ。悪ふざけが過ぎるというか。

 

そこがおもしろいところでもあるんだが。

 

芥川賞を獲られている。ネット上での評価はちょっと可哀想に

 

なってしまうほどひどいものだった。うーん。

 

「おやすみラジオ」

 

途中半ばまでは、これは、と思って、すごく楽しく読んでいたのだが

 

ラストでうむむ、と唸って、「?」となってしまった。

 

リアルの境界がなくなり、ネットで操作された人々が比奈子たちを

 

襲うってのも、むむむ、と思って、ムリがあるのでは、と思ってしまった。

 

ブログを子供が書いていて、その内容が成長するラジオなら、そこいら

 

へんをもっと引き延ばされた方がよかったのでは、と思う。いくらでも

 

ストーリー展開の選択肢はあったはずである。

 

これが新感覚のSFなのか、と思って、そうかそうか、と言って、手放しで

 

喜ぶべきなのか? これは新たなホラー小説的な? いや、違うな。

 

SFはいつも新たな挑戦をしていくべきなのだからして、これでいいのだ。

 

と、結局は納得してしまったおれっちだった。……合掌。

 


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