古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

百鬼園日暦      内田百閒

2022-10-21 10:16:03 | 内田百閒

「もの食う話」所収

 

百閒氏が日常の過ごし方を描いておられる。出かけるまでの

 

準備に4~5Hかかるので、二時三時に起きて、家人も叩き

 

起こしてしまうのだそうだ。

 

朝めしはビスケットを齧り、牛乳を飲むそうだ。冷たいのか、

 

温かいのかは書いてはいない。夏は冷、冬は温かな。

 

ⅠやLは食べやすいが、BやGのビスケットは腹がいっぱい

 

になって、口の中がもそもそする、という。

 

夜は目が冴えてしまって、眠れなくなるので、仕事はしないそ

 

うだ。

 

お腹のふくれたところで寝てしまうそうだ。

 

百鬼園は借金の語呂合わせだというように、借金まみれだった

 

そうだが、ぼくは借金というものをしたことがない。

 

奢ったことは限りなくあるけれど、奢られたことはほんの数回

 

しかない。奢られるのはあまり好きではない、親は別だが。

 

          (読了日 2022年10・10 18:10)

                         (鶴岡 卓哉)

 

 

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餓鬼道肴蔬目録   内田百閒

2022-10-20 22:09:46 | 内田百閒

「もの食う話」所収

 

この作品に関して、川上弘美女史が言及したエッセイが

 

あったっけな。

 

この作品は、内田氏が戦時中に思い出した料理や食べ物

 

が列記してあるだけなのだが、そこには、それらの食べ物

 

に対する憧憬やなんかがあるように思う。渇望といっても

 

いい。ストーリーはないのだが、そこに物語的ななにかが

 

生まれる気配がする。

 

たしかに我々は、おカネさえあれば、なんでも食べられるよ

 

うになった。果たして、それでいいのか、という問いも突き

 

つけられているような気もする。

 

ぼくは食欲と闘うぞ、と思ったのであった。

 

        (読了日 2022年10・11 4:50)

                      (鶴岡 卓哉)     

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食慾について     大岡昇平

2022-10-19 04:56:37 | 本の紹介

「もの食う話」所収    文春文庫

 

戦前の軍隊でのいやしい男について描かれている。

 

食欲の激しい男というものはいるらしい。いまの

 

ぼくはもっぱら食べないことに執心している。

 

大岡昇平氏といえば、「野火」で人肉を食べる食べない

 

が描かれるので有名らしいが、食慾というものがテーマに

 

なってくるらしい。

 

ここでの短編も食慾が大きなテーマになっている。

 

中年から老人が食欲がすごいというが、中年になって、

 

腹がでるのは、食慾が外にでてしまっているようで、非常に

 

醜いのではないか。

 

ぼくも一刻、腹がでっぷりと出て、人の体型をみて、これ

 

じゃあ、いけない、あの人と同じだ、と思い、ダイエットを

 

決意した。でも、人間というものは食欲との闘いだと思う。

 

特に現代人は。

 

   (読了日 2022年10・11  1:10)

                  (鶴岡 卓哉)

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池波正太郎の銀座日記【全】   池波正太郎

2022-10-18 15:42:14 | 本の紹介

新潮社   昭和63年

 

このボロボロになった銀座日記はどなたかがもち

 

こんでこられたものだ。池波氏喫煙者なので、タバ

 

コをすっておられるのは、気もち悪くなってしまうので、

 

大丈夫かしらん、とおもったが、意がいとおもし

 

ろくて、大丈夫だった。このひとは、ラッキーストライク

 

とかの両切りを吸うんだね。

 

ポーク・カツレツをけっこうな頻度で食べていて、

 

安の定、通風で苦しんでおられる。いまほど栄養学

 

が発達していなかったのか、痛風の発作が起こっているのに

 

シャーベットやなんかを平気で食べたりする。

 

けど、ぼくにとってはこの三日間はよかった。だんだん

 

衰えていく様が分かるのだが、最後の一行、ベッドに入り

 

いま、いちばん食べたいものを考える、考えてもおもい浮

 

かばない、に泣けてくる思いがした。アメリカ映画をこよなく

 

愛し、試写室通いを頻繁にされていて、ぼくの好きな、

 

「エンゼル・ハート」、「カミーユ・クローデル」を褒めていた

 

ので、センスいいじゃん、と頷くことしきりだった。

 

          (読了日 2022年10・8 0:54)

                       (鶴岡 卓哉)       

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行きつけの店     山口瞳

2022-10-17 08:57:15 | 本の紹介

新潮文庫  平成5年 

 

山口氏の集大成となる本作。山口氏の愛した店、ホテル・ニュー

 

グランドのローストビーフ、山の上ホテルの天ぷらとステーキ

 

など、20カ所に及び描いている。

 

山口氏は総入れ歯だそうであった。それでは、味もへったくれも

 

会ったものではなかろうと思うのだが、味に関する記述は驚くほど

 

少ない。人と人の関係、店と人の関係の重要性なのだな。

 

店で食べるということがひとつのステータスであり、体験であるらしい

 

のだ。フツーの人は山の上ホテルで天ぷらを食べるなんてことは

 

あんまりないんじゃないか。すごくゴーカな生活を送っていた

 

と思う。それで、まだ未読だが、江分利満氏の優雅な生活みたいな

 

作品が生まれるわけですね。写真も載っているが、味のある建物の

 

雰囲気が伝わってきて、昔の一流の在り方がビンビン伝わってきた。

 

         (読了日 2022年10・4(火)22:00)

                   (鶴岡 卓哉)

 

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泉麻人の僕のTV日記

2022-10-16 06:53:04 | 本の紹介

新潮文庫     平成3年

 

1960年代後半から1970年代にかけてのTV

 

ウォッチング日記。

 

ぼくとは15歳くらい歳が違うので、書いてある

 

TVのことはほぼわからなかった。でも、その当時の

 

手触りというようなものはなんとなく理解できるので、

 

すごく楽しかった。

 

ぼくもTVのウォッチャーとしては、なかなかのものだ、

 

と自負している。

 

最近のぼくの興味は昭和歌謡にあるので、ピンクレディー

 

の記述なんかは、とてもよかった。

 

ぎんざNOWではなく、ぼくの世代は夕焼けにゃんにゃんだった。

 

とんねるず世代で、お笑いが台頭してきたころだ。

 

こらっ! とんねるずっていう番組があって、日曜の17:00

 

から15分くらいやっていた。とんねるずの番組はビビットで

 

おもしろかった。ただ、長くみなさんのおかげですなんかはやり過ぎて

 

それで、評価を落としたようだ。

 

けど、この本にはそこいらへんのことは書いてないのね。やはり、ちょっと

 

ギャップがあったみたいですね。でも、TV愛は充分伝わってきた。

 

             (読了日 2022年9・29(木)12:10)

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プーと私    石井桃子

2022-10-15 09:34:51 | 本の紹介

河出文庫     2014年

 

石井女史の全エッセイから網羅してあるらしい。

 

石井女史とは、児童文学の翻訳者として、知られた

 

人だ、ということで、今の人は、ぼくも含め、あまり

 

知らないと思う。いや、知らなかったのはぼくだけか。

 

とにかく、図書館というものが、メジャーでない時代から

 

子供に本を読ませるためにはどうしたらよいのかについて

 

考え、働いてきた人だ。アメリカにも若いときに一年行って

 

いたが、九カ月ほどよその国に行っていたらしい。

 

ホームシックにはならなかった、と語る。

 

「プー」とは「クマのプーさん」の「プー」なのか、

 

「プー」という擬音からなにかを表わそうとしたのか。

 

きっと「プー」ということで、近しい存在感を表わしている

 

のだろう。仕事のすべてがクマのプーさんから始まっている

 

ことを思うと、そうだろうな、と納得する。

 

子供の守り神として、2008年に101歳で亡くなったら

 

しいが、末代まで語り継がれるだろう。

 

      (読了日 2022年9・25  23:23)

                     (鶴岡 卓哉) 

 

 

 

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帰ってきた日々ごはん①      高山なおみ

2022-10-14 09:59:17 | 本の紹介

アノニマ・スタジオ   2015年

 

2009年4月19日~2012年9月までのみぃ日記。

 

ここでキーになってくるのは、ちびまる子ちゃんとサザエさんの

 

ウォッチャーであるということだ。この趣味が如実にこの作品にも

 

反映されているようだ。

 

高山女史には、その仕事量に驚かされるが、その質の良さにも目を

 

見張るものがある。

 

テレビでも見たが、神戸に移り住んで六年になり、広島弁をしゃべる

 

スイセイさんともお別れしたようである。

 

この作品でもスイセイさんはいい味出してんだけどね。

 

映画「ホノカア・ボーイ」っていうのをやっていたようだ。

 

娘さんもいるが、スイセイさんの連れ子だったらしい。そのりうさん

 

にも子供が産まれたりして、そういうのメンドクサクなっちゃったん

 

かな、わからんけど。

 

僕はテレビで高山さんが出てると必ず見るウォッチャーである。

 

たぶん、ストーカーではないと思う、チーーン。

 

         (読了日 2022年9・20 4:53)

                     (鶴岡 卓哉)      

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小さな生活  津田晴美

2022-10-13 10:26:38 | 本の紹介

ちくま文庫   1998年

 

ぼくはもの持ちはいい方だと思う。勉強机は中二のころから

 

ずっと使っているし、そのスタンドも30年くらい使っている。

 

ローテーブルは何回も色を塗り直して、30年くらい使っている。

 

小さな生活っていうタイトル、ここに惹かれて、この本を買った。

 

始め、読んで、うっせええ、と思って、一度やめてしまったが

 

旅好き、もの好き、暮らし好き、が良かったので、再び、手に取った。

 

前半はとてもおもしろかったが、後半、ぼくの集中力が切れたのか、

 

読む力が衰えた。それでも、最後まで読み通し、デザインのことや、

 

オシャレのことについてなんか、考え直すきっかけになった。

 

そういや、オシャレってなんだろうな、自分の好きと深く関わって

 

いると思うが、ちょっと背伸びもしたいしね。うーん、オシャレかあ、

 

難しい問題やね。センスは磨くもの、ということだな。けど、子供

 

に教えて分かることは、持って生まれたものって大きいという

 

ことかもしれない。

 

     (読了日 2022年9・18 19:00)

                   (鶴岡 卓哉)

 

 

 

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八月の暑さのなかで   W・F・ハーヴィー

2022-10-12 06:41:21 | 小説の紹介

「表題作」ホラー短編集    1910年

 

イギリスの作家で、WWⅠでは軍医として従軍。爆発直前の

 

駆逐艦から戦闘員を救った功で勲章を下賜(かし)されるが、

 

救助の際、肺を痛めて、後遺症が残り、52歳で亡くなるまで

 

小説や自伝を書いて暮らしたらしい。

 

この作品は主人公は絵描きで、自分で描いた絵の通りの太った

 

男が石工として、道に迷った末に出くわし、石工は墓を彫っていて

 

それが、自分の名前で、その日までの命らしい。

 

結末がこういう短編では重要だが、この作品ではよく分からない

 

ことになっている。こういう終わり方もありなんだろうが、読み手

 

としては、はっきりとさせて欲しいところだ。

 

作り手の手抜きとも受け取られかねないし。

 

          (読了日 2022年9・15(木)3:24)

                  (鶴岡 卓哉)

 

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