「自由」の名の下で作られる格差
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ロンドンに住むシングルマザーのアンジー。
彼女は息子を両親に預けているのですが、
早く生活を安定させて引き取りたいと思っている。
ところが、順調にいっていた職業紹介所の仕事があっけなくクビ。
そこで思い切って、自分で仕事をはじめることにします。
移民労働者に仕事を斡旋するんですね。
営業の届出もなしに、もぐりで・・・。
・・・しかし、それよりも、不法移民を働かせる方がもっと儲かることに気づき・・・、
超えてはいけない一線を超えてしまう。
格差。
そういって片付けるには、あまりにも複雑な世の中です。
超特級のほんの一握りの富裕層から、食うや食わずの極貧層まで、
いまや世界中を巻き込んで序列がある。
しかも、大抵は金銭的強者が弱者を食い物にして。
問題なのは、これは「制度」としてそうなっているのではなくて、
「自由」の名の下でこうなってしまっているということなんですね。
イギリスにも他国から多くの移民が押し寄せ、
混乱状態にあるという実態を覗かせます。
「イースタン・プロミス」の映画のように、
そんな中ではロシアン・マフィアの暗躍などもあり、
かなり危険な世相となっているようなので・・・、
彼女の行動はやはり、自殺行為です。
この映画では、こんな中で
なりふりかまわずに生きようともがいているアンジーを描きつつ、
本当にこんな社会でいいのだろうか、と訴えているように思います。
自分が幸せになるためには、誰かを蹴落とさなければならない。
こんなことは間違っているはずなのですが、いまやそういう風潮が当たり前。
では、どうすればよいのか
・・・私などが考えるまでもなく、
古来から多くの賢人が考えているのですが、答えはありませんね。
やはり、「チェ・ゲバラ」を見てみようという気になってきました・・・。
この映画のチラシに、こんなことがかいてありますよ。
Free
1 (人が)(奴隷の状態になく)自由の身の、自由な
(国・土地が)自由な人の(ためにある)
2 『経済』(経済取引・貿易が)(関税障壁などを伴わない)自由性の、無統制の
(中略)
4(人・思想・意志・行動などが)外部の干渉[因襲]にとらわれない、拘束されない
ーーーランダムハウス英和辞典より抜粋
今あるのは真の「自由」ではなく、
やはり何かにとらわれている、「自由ではない状態」
なのではないかという気がしてきました。
2007年/イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン/96分
監督:ケン・ローチ
出演:キルストン・ウェアリング、ジュリエット・エリス、レズワフ・ジュリック、ジョー・シフリート