映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アラトリステ

2009年01月17日 | 映画(あ行)

孤高の剣士アラトリステの半生

               * * * * * * * *

まず、舞台は17世紀スペイン。
「エリザベス・ゴールデンエイジ」を見た方ならご存知と思いますが、
スペインの誇る無敵艦隊が英国エリザベス女王に撃破される。
その後、絶頂期のスペインが落日の時代へと変貌していく。
ちょうどそのあたりの時期なんですね。
時の国王はフェリペ4世。
しかし、実質オリバーレス伯爵が王を操り、国政を支配していた。
このような史実、実在の人物の中に
架空の騎士であるアラトリステ(ヴィゴ・モーテンセン)を配し、語られる歴史物語です。

当時のスペインは、ほとんど絶え間なくどこかで戦争を繰り広げていた、というのが伺えます。
戦地はほとんどモノトーンに近いくらいに陰鬱で灰色一色。
冷たい雨に、身も心も冷え切り・・・。
泥と血にまみれ・・・。
当時の戦闘をかなりリアルに表していると思います。
こんな中で生き抜くためには、
人並み以上の体力と、それにも増して、気力が必要ですね。
シーンが、リスボンの街へと移るとほっとします。
アラトリステは亡くなった戦友の息子イニゴを引き取り育てるのですが、
アラトリステとその若きイニゴを中心に彼らの愛と戦いの日々が綴られていくのです。

さてと、できのいい作品だとは思うものの、
実のところ、この映画のどこに感動すべきだったのか・・・、
というかどこに感動したと書けばいいのか・・・、
思いがくすぶったままの帰り道でした。
そもそも、ヴィゴが出ているから見た映画で、
たしかに、見せ場たっぷり、渋くてかっこよかったのですが・・・。
なんだか心の真ん中に響くものがない。

この映画を楽しむには、かなりのスペイン通度が必要なんじゃないでしょうか。
きっと、スペインの人たちにはアラトリステは共通のヒーローで、
何かしらの思い入れがあるのじゃないかと思いました。
だからその映画化ということで、楽しめるのじゃないかと思います。
そういう基本的な思い無しでこの映画を見てもピンと来ない。
・・・そういうことなのではないかと・・・。

2006年/スペイン/145分
監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
出演:ヴィゴ・モーテンセン、エドゥアルド・ノリエガ、ウナクス・ウガルデ、ハビエル・カマラ