幸せに包まれた時、彼女は浮遊する
* * * * * * * *
デパートの化粧品売り場で働く主婦オデットは、ある作家に夢中。
その名はバルタザール・バルザン。
どこかでサイン会があると聞けば、休みを取っていそいそと出かけてゆく。
うれしくて体は宙に舞う。
そう、この幸せな高揚感の時、彼女は浮遊しているのです。
さて、主婦などには絶大な人気を誇るバルタザールでしたが、
ある日、最新刊の酷評を受けてしまう。
その評論家曰く、
「こんな本は、部屋に人形や夕日の写真を飾っているようなバカな主婦しか読まない。」
そしてまた、彼の妻がその評論家と浮気しているのを目撃し、
すっかり自信喪失し、生きる意欲すらも無くしてしまう。
そんなとき、オデットが彼に宛てた温かいファンレターを読み、
引き寄せられるように、彼女の家までやってきてしまった。
彼はそのまま、そこに何日か滞在することになるのですが・・・。
果てさてこれはハッピーエンドのラブストーリーとなるのや否や???
オデットはベルギーに住む主婦なのですが、夫は数年前に亡くなっており未亡人。
彼女には、つい人に手助けしてしまうという包容力があるようです。
美容師の息子と、
大学は出たけれど就職が決まらず、いつも不機嫌で生意気な娘がいる。
おまけに、娘の彼氏がなぜか居ついてしまって同居中。
この家族もなかなか面白い。
そこへパリから、有名作家が転がり込んで来た。
オデットは、夜は羽飾りの内職までして生活を支えています。
さして広くもないこのアパートの様子、就職難、楽ではない生活。
・・・映画の影に見えるこうした風景を見るにつけ、
どこも同じなんだなあ・・・と、親近感をいだいてしまいました。
そしてこの温かい家族、
歌ったり踊ったり、さすがの突っ張り娘もやはりこの家の娘、と思わせるほのぼのシーンもいいのです。
おかしいのは、オデットの部屋に人形や夕日の写真が飾ってある。
オデットはノーベル賞に文学賞があることも知らなかった。
・・・まさに、あまり教養もないごく普通の主婦ではあるけれど、
そういうたくさんの人たちをバルタザールは幸せにしている。
それでいいじゃない。と、オデットは彼に語りかけるのです。
このオデット役の、カトリーヌ・フロ。
どうも最近見た記憶がある、と思ったら、「譜めくりの女」でした。
一つ、うまく解読できなかったのは、オデットと同じアパートの住人と思われるキリストに酷似した青年が時折現れる。
しかし、彼はどうも実在しない人物のようなのですね。
彼女が空を飛ぶ描写と同じく、彼女の内面をあらわしていた幻のようなのですが・・・。
つまりは、自分を犠牲にしても、人の幸せを願おうとする彼女の行為が
ほとんどキリストに近いとするものなのか・・・。
どうなんでしょう・・・?
そういう余韻も持たせた作品であるのは間違いありません。
2006年/フランス・ベルギー/100分
監督:エリック=エマニュエル・シュミット
出演:カトリーヌ・フロ、アルベール・デュポンテル
地上5センチの恋心
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デパートの化粧品売り場で働く主婦オデットは、ある作家に夢中。
その名はバルタザール・バルザン。
どこかでサイン会があると聞けば、休みを取っていそいそと出かけてゆく。
うれしくて体は宙に舞う。
そう、この幸せな高揚感の時、彼女は浮遊しているのです。
さて、主婦などには絶大な人気を誇るバルタザールでしたが、
ある日、最新刊の酷評を受けてしまう。
その評論家曰く、
「こんな本は、部屋に人形や夕日の写真を飾っているようなバカな主婦しか読まない。」
そしてまた、彼の妻がその評論家と浮気しているのを目撃し、
すっかり自信喪失し、生きる意欲すらも無くしてしまう。
そんなとき、オデットが彼に宛てた温かいファンレターを読み、
引き寄せられるように、彼女の家までやってきてしまった。
彼はそのまま、そこに何日か滞在することになるのですが・・・。
果てさてこれはハッピーエンドのラブストーリーとなるのや否や???
オデットはベルギーに住む主婦なのですが、夫は数年前に亡くなっており未亡人。
彼女には、つい人に手助けしてしまうという包容力があるようです。
美容師の息子と、
大学は出たけれど就職が決まらず、いつも不機嫌で生意気な娘がいる。
おまけに、娘の彼氏がなぜか居ついてしまって同居中。
この家族もなかなか面白い。
そこへパリから、有名作家が転がり込んで来た。
オデットは、夜は羽飾りの内職までして生活を支えています。
さして広くもないこのアパートの様子、就職難、楽ではない生活。
・・・映画の影に見えるこうした風景を見るにつけ、
どこも同じなんだなあ・・・と、親近感をいだいてしまいました。
そしてこの温かい家族、
歌ったり踊ったり、さすがの突っ張り娘もやはりこの家の娘、と思わせるほのぼのシーンもいいのです。
おかしいのは、オデットの部屋に人形や夕日の写真が飾ってある。
オデットはノーベル賞に文学賞があることも知らなかった。
・・・まさに、あまり教養もないごく普通の主婦ではあるけれど、
そういうたくさんの人たちをバルタザールは幸せにしている。
それでいいじゃない。と、オデットは彼に語りかけるのです。
このオデット役の、カトリーヌ・フロ。
どうも最近見た記憶がある、と思ったら、「譜めくりの女」でした。
一つ、うまく解読できなかったのは、オデットと同じアパートの住人と思われるキリストに酷似した青年が時折現れる。
しかし、彼はどうも実在しない人物のようなのですね。
彼女が空を飛ぶ描写と同じく、彼女の内面をあらわしていた幻のようなのですが・・・。
つまりは、自分を犠牲にしても、人の幸せを願おうとする彼女の行為が
ほとんどキリストに近いとするものなのか・・・。
どうなんでしょう・・・?
そういう余韻も持たせた作品であるのは間違いありません。
2006年/フランス・ベルギー/100分
監督:エリック=エマニュエル・シュミット
出演:カトリーヌ・フロ、アルベール・デュポンテル
地上5センチの恋心