戦争は終わったが、革命はこれからだ
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革命家チェ・ゲバラ2部作のうちのパート1。
こちらは彼が28歳の頃、キューバ革命を成し遂げた、
いわば彼の光の時代を描いています。
「チェ」というのは、「ねぇ君」などと相手に呼びかけるときに使う言葉に由来する愛称で、
本名はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。
このキューバ革命があったのが1956年。
映画中に挿入されている、チェの国連総会の演説が1964年。
・・・ということで、まあ、実のところ私も彼が何を成し遂げたヒトなのか良くわかっていなかった、というのも無理はない、
・・・まだそのようなことをリアルタイムで考えられるような年ではなかった・・・というわけです。
でも、学ぶ機会はたくさんあったはずなので、不勉強であることは確かですね。
遅まきながら、この作品で勉強させていただきました。
この映画のためには珍しくWikipediaでちょっと予習をしました。
彼の人生・活動の中で、この作品(28歳時)がどのあたりに位置するのか、
それくらいは解っていた方がよさそうです。
でも、実はこの解説を読んだだけで、私は感動してしまった。
なんて鮮烈な人生・・・。
映画は私にとっては、この感動の後付となりました。
チェはアルゼンチン生まれ。
若き医師であった彼は、メキシコでフィデル・カストロと出会った。
キューバ革命を画策するカストロに共感を覚え、軍医としてゲリラ戦に参加。
当時のキューバはバティスタの軍事独裁政権。
この政権を倒すための武力闘争。
これはもう、戦争そのものです。
チェは喘息の持病があって、作品中も絶えずゼイゼイいっています。
人に何かを語るときも決して高圧的でなく穏やかに話をする。
しかし、その思想・信念は限りなく強い。
自分に課したミッションがしっかりしていて決してブレない。
自分には厳しく。弱者には優しく。
そういうところが、すごくカッコイイ。
こんな彼だから、周囲の人々の尊敬を集めていったのでしょう。
映画中こんなセリフがあったんです。
バティスタ政権を倒し、勝利したところです。
「戦争はこれで終わったけれど、革命はこれからだ。」
武力闘争はあくまでも手段。
真の目的は民衆による平等な社会。
本当に大変なのはその仕組みを作っていくこれからなのだ、ということなのでしょう。
自己の保身しか考えず、何をミッションとしているのか全然解らない
(というより、初めからないんでしょうね)どこかの政治家は、見習うべきですね。
ベニチオ・デル・トロは、25㎏の減量でこの役に挑んだということで、
精悍、なんともかっこよくチェになりきっていますが、
本物のチェは映画スターも真っ青のハンサムで、
内面からにじみ出るオーラ・・・
こりゃやっぱり、伝説的に語られるべき人物なのであります。
このパート1を光とすれば、残念なことにパート2は
彼の生涯を閉じることになるエピソードとなるんですね。
つまり影。
やはりそちらも見なければ・・・。
2008年/アメリカ・スペイン・フランス/132分
監督:スティーブン・ソダーバーグ、
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンティアゴ・カブレラ、エルビラ・ミンゲス