なんじゃぁぁぁ、これは?!?!?!
テレビの画面で院長以下病院幹部が深々と頭を下げてる。最近大流行、謝罪会見の様子だ。なんだ?医療ミスか?使い込みか?違う、職員が自分の娘を殴ってけがさせたことに対する謝罪だ、っておいおい!
そりゃ、腹立ったからって娘ぶん殴る親は許せない。が、人間、ついかっとなって、なんてことはあるよなぁ、子どもだって小憎らしいことはあるもの。あっ、俺は殴らんよ、感情に流されて暴力!なんて非理性的人間じゃないからな、念のため。まっ、最近の児童虐待事件の多さからすれば、世間が騒ぐのもこれまた仕方ないか。
だがな、それを職場の上司が謝罪するって、これは異常だろ?仕事上のミスでもトラブルでもないんだぜ。純然たるプライベートの出来事だ。それとも、問題職員の感情制御とか暴力抑止力とかを社員教育すべきだったってことか?あり得ねぇだろ!そんなこと。よしてくれ、そんな人格統制みたいなこと。
ともかく、何かあったら、取りあえず謝っておこう、頭下げて非難の声が素通りするのを待とう。これ、近頃流行りの考え方、身の振り方にになってるよな。それも、当人だったら土下座して地面に額こすりつけたり、何もそこまでって姿、元アイドルが見せてくれたしな。さらに、家族だったり、所属機関だったり、仲間だったりが平身低頭するのも当然って風潮だ。謝れ、お詫びしろ、反省しろって、何か事件が起これば、すぐに家族や上司や同僚ににマイクが向けられる。警官襲った犯人の父親は役職から降りたって話しだしな。ピエール瀧の同僚・石野卓球に対する謝れコールは凄まじいものだった。石野は断固、屈しなかった、偉い!
原因は言うまでもなく、バッシングの激しさだ。もう、ほとんどリンチって言っていいくらいじゃないか。理詰めのものから悪態、罵詈雑言に至るまで、ありとあらゆる流言飛語が飛び交い、あっと言う間に悪意の包囲網に雁字搦めだ。周囲の目が、みんな非難の眼差しに見えて居たたまれず、だったら、取りあえず頭下げちまえ。責任があるとは思えない、どうすることができたって言うんだ?が本音でも、そんな素振りは毛ほども見せちゃならない。ともかく、非難の嵐をやり過ごさねば。ほとんど事件とは無関係の人間まで、日ごろの繋がりがあったってだけで、赦しを乞う、これが今、蔓延している「取りあえず謝っちゃえ社会」だ。
なんかなぁ、嫌な世の中だぜ。世間様の無理無体な道徳意識が大手を振ってまかり通っている。家族って言ったら一心同体、無限責任とか、仲間だったら諫めて当然とか、会社は社員教育の義務あり、とか。本当かよ?そんな勝手に色付けするなよ。人間の関係なんていろいろだぜ。人間、たとえ家族だろうと、近しかろうと、その行動に責任なんてとれやしないんじゃねえか。それは過剰な連帯責任ってもんだ。個人に対する猛烈な侮辱ってもんだ。なし崩しに責任範囲広げたところで、世の中委縮するだけだ。問題の解決になんか結びつきゃしないんだ。取り敢えず謝った、非難の矛先はどっかに行った、やれやれ、これで落着!ってもんだ。
一方的な規範の押し付け、あるべき家族像の無理強い、会社や地域への帰属意識強化、これって、昔、よくよく聞かされた話しじゃねえか?息苦しい社会だったって感想とともにさ。