自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

千島学説から一考

2022年11月21日 | 介護と自然治癒力

夫の回復力と腸力の影響  2022年11月21日

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(千島喜久男博士写真)

 

”一見、全うにみえる考え方には望みがない。本物は大概、常軌を

逸しているものだから”とは、量子力学の基礎をつくった物理学者、

ニールス・ボーアの言葉だ。

 

そうした意味で今、再び、脚光を浴び始めている生物学者がいる。

千島喜久男医学博士。千鳥学説と通称いわれている独特の学問

体系を確立した。1978年、79歳ですでに逝去している。

 

が、当時、血液学の第一人者、京都大学天野重安教授から、

千島博士に対して、”精神鑑定をしてもらったらどうだろうか?”

言わせるほど、その学説は、奇想天外なものだった。

 

今日は その中で、今日のテーマと関係がある、”腸管造血説”

をとりあげる。’腸内造血説’とは、読んで字のごとし、造血は腸で

行われるという説だ。本来、造血は、骨髄でされるという定説を

覆した。

 

夫を健全に戻すためには、腸活動を健全にしなければ、と私が感じた

大きな理由はここにあった。そのためには、’歩く’ことで、骨盤が

動き、お腹が刺激され、腸が活発化すると、食欲も出てきて、’食べる’

ことで、消化運動が始まり、腸内で栄養分が吸収され、全身に

まわっていくという、好循環が期待された。

 

さらに、千鳥博士が提唱したように、腸内で赤血球が造られるのなら、

腸活動の正常化が、ますます必須に思われた。

では、どうして、腸内で血液が造られるという発想になったのか、

背景を大雑把にみてみたい。

 

脊髄動物の腸内は、絨毛膜(じゅうもうまく)で覆われている。

これが植物の水分や栄養分を吸収できる根っこにあたる、と

千島博士は考えた。

腸内の絨毛膜に、消化物が付着すると、腸の粘膜に吸収される。

その際、アメーバのような姿になり、成熟して、赤血球になり、

血管へ流れていくことを、実験した。

 

鶏やウサギ、犬、猫はじめカエルまで実験材料にして、栄養状態の

良いとき、悪いときの、絨毛膜と血液再生の実験を繰り返し、

確信を得ていった。

生体の発生当初は、卵の表面の絨毛で血液が造られ、胎盤の絨毛でも、

同様の血液の製造がみられた。生後は、腸粘膜の絨毛で、血液が

造られることを観察した。

 

一方、骨髄で血液が造られるというのも、真実だった。

しかし、それは、生体が栄養不足になったとき、骨髄の一部の細胞が、

造血作用を促すというものだった

しかし、普通の栄養不足ではない状態では、骨髄は脂肪が過多で、血液を

大量に造る状態ではないと千島博士は考えた。

 

飢餓状態や、栄養不足の時は骨髄組織の細胞が、血液に逆戻りしている

のだろうという説も唱えた。

いわゆる、”異所造血”と言われる、他の身体の部位で見られる

造血作用も、これと、同じ理由である。

 

そもそも、赤血球が骨髄で造られると唱えたのは、1925年、アメリカの

ダン、セーヴィン、そして、キャニンガムの三人の血液学者だとされる。

彼らは、鶏やハトを10日間前後の絶食状態にして、骨髄から血液が

造られることを観察した。

 

千島博士は考えた。

飢餓状態のときと、普通の栄養が足りている健康状態のときと、

造血が骨髄で行われているといえるのだろうか?

先に書いたように、栄養状態が良ければ脂肪が多く、血液が造れる

状態ではないはずだ。

 

さらに、血液といっても、血管の中を流れている時、組織の中に

入った時、出血して身体の外に出てきた時など、それぞれ、

形状が異なる。

時間の経過や場所の移動、ある条件の中で、一定の時間に測定した

ことがその真実を証明しているとは言えないと、千島博士は考えた。

 

血液の形も、穴のないドーナツ型と言われている。それは、直径7.5から

8.53ミクロンで、中央がくぼんだ円盤状の形は、血管の中を流れている

時の形にすぎない。

赤血球には核がないから、もう、年を経た細胞の最後の姿だとも

いわれている説に、次のように、異論を唱えた。

 

①消化された食べ物が赤血球になる。

②赤血球は腸内で造られる

③血管は閉鎖(へいさ)系で、赤血球が組織に飛び出しているのは

炎症など病的な場合だと決めつけられない。

 

④毛細血管の先端は、開いているので、組織と組織の間に入り込む

⑤健康で栄養状態が良いときは、赤血球はすべて細胞に変化する

⑥からだが病的になるときは、赤血球は、がん細胞や炎症細胞など

病巣(びょうそう)の細胞に変化する

 

⑦断食や節食、大量の出血後や病気のときは、すべての組織細胞は

赤血球に逆戻りする

 

⑧負傷などで身体の破損したところを再生するのは、赤血球が組織に

変化するから。

 

赤血球は老化して核をもたず、消えていく前の細胞の姿だといわれる

のに対して、千島博士は、赤血球は核を得て、どのような細胞にも

なれるという。

 

夫が歩いたり、奇跡的回復を見せたという底力には、腸を整えたいと

いう切なる私の望みが、順気を回らせ、少しずつ固形食を食べれるよう

にして、腸の生命力を促進してきたからだと、信じている。

幸いに、昼間の施設の職員の皆さまも、全面的にそれを支援して

くださった。

 

こうしてみると、腸の力は、思っている以上大きいものだ。

そして、血液がここで造られるとしたら、清浄な血液が健康体を

作るのだから、ますます、腸の底力を感じる。

 

 

 

 

 

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