”北酒場”演歌で盛り上がる 平成25年5月16 日
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/8a/9bc89cc7b824ea728d474a1e3bf0ef5f.jpg)
********************************
この数日間、久しぶりに バンコクを訪れたためか、
昔からの友人のお誘いを受けている。
昨日は、Mさんが、コンドーミニアムに
車で、迎えに来て下さった。
Mさんは、シーロム通りにある B 銀行・本社の
ディレクターを、勤め上げたキャリアーウーマンだ。
ちょっと古びた私たちのコンドーミニアムを見上げて、
“このアパートは あなたたちが住むのには、相応しくない”
と辛口なコメント。
“相応しい所が どういう雰囲気か連れて行ってあげるわ” という。
車を5分ほど走らせると、大通りに面した 高い建物が目に入った。
一見、ホテルの玄関のようでもあり、緑が多く、
気持ちの良い雰囲気が 入口からすでに、充満している。
入口で 守衛さんに車を止められた。
“ちょっと、ジムまで” と友人。
このコンドーミニアムの ジムの会員証を見せる。
硝子張りの玄関を右手に見ながら、広い駐車場のS字型を上っていく。
何階かわからないほど、ぐるぐる回り、車が止められた。
時計は5時半近くになろうとしている。
“ここに、あなたの好きなメナム川の そばのレストランがあるから
そこで、お茶しましょう“
と Mさんは 広い、敷地内を案内してくれた。
25メートルもある、本格的な、ブールには、並並と青い水が湛えられている。
気持ちよさそうに のびのびと泳ぐ人たちを見ながら、レストランに着いた。
目の前は メナム(チャオプラヤー)川である。
雄大なその川の流れに、今にも、夕日が落ちんとばかり
空が紅色に染まり始めた。
思わず、その美しさに声をあげた。
はるか下流には バンコクの高層ホテルの 煌々とした照明に照らされた
ビルが いくつも浮かび上がっている。
対照的に 夕日が沈んだその場所には、ひっそりと静まり返った、
村村の家並みが垣間見える。
そこには、まだ、人の暮らしの匂いがあった。
川から やさしく吹き寄せる風は、心地良く、
喧噪と熱気の街の片隅にある、知られざるオアシスさながらだった。
Mさんは、パイナップルのフレッシュジュースに
ミントの葉っぱを 細かく混ぜたものを注文してくれた。
甘くて 酸っぱい パイナップルに、さわやかなミントの香りが漂って
思いがけない、フレッシュな味が、さらに、爽快感を倍増させた。
そうこうして 夕日の落ちるのを見ながら、話に花が咲いた。
メナム川沿いの タイ料理レストランは 観光客の訪れる定番の
観光コースで、どこでも、結構、お客さんでにぎわっている。
一方、意外な穴場と思われる、この、レストランは、コンドーミニアムの
敷地内にあり、ほとんど客らしい客はいなかった。
おかげで、静かで落ち着いた趣を漂わせていた。
商売っ気がないらしく、客足が少ないので、Mさんの話だと
半年ごとに、店長の顔が 変わっているということだった。
コンドーミニアムの住民のためのキャンティーンというには、
ちょっと、贅沢なレストランで、やはり、外部からの客を当て込んで
いるのだろう。
店内にはバーも用意されていた。
私たちは 時折、川から吹き寄せる、夏風、”川の風”を満喫すべく、
レストランの屋外、テラスの席に座った。
“夏しか味わえない 風でね。
この風のおかげで 蚊 も飛ばされちゃうのよ” とMさん。
数メートル歩けば、川のほとりに立てるほど、チャオプラヤー川が
接近している。
手入れされた庭園やプールだけでは 人工的すぎる風景に、
チャオプラヤー川の 悠然さが、借景(しゃっけい)として、
溶け込んでいた。
見渡せば、ホテルのような造りの建物が三方を囲んでいる。
このホテルのような建物が コンドーミニアムということだった。
2DKの広さ、110平方メートルで バンコクの不動産物件の
価格高騰もともなって、できた当初の価格の倍値にあがっていた。
たしかに、庶民の手が 届く範疇ではなかった。
まだ身分社会の片鱗が、バンコクの中流以上のインテリ階級には
あるのだろうか?
”あなたたちに相応しい、相応しくない” という基準は、そこに
住む人たちの、収入や社会的ステータスに関係しているのかも
しれなかった。
生活していた当時の、バンコク時代は 外国人転勤族にとっては、
恵まれた条件で、今のバンコクでは不可能になった、運転手やメイドさんの
いる生活が普通だった。
毎日のように、各国大使館や、企業主催で 夫婦で出席できる、
パーティー招待のはがきが 届けられた。
それ以外にも日本人会での食事会や、催し物などで忙しく、
一般の日本人は、タイ人の庶民的な感覚を味わう余裕がなかった。
だから、今、こうして、古いコンドーミニアムに滞在しながら、
当時 触れえなかった ローカルな生活感を 満喫できる楽しさを、
Mさんにわかってもらおうとするのが 無理なような気もした。
この、贅沢なコンドーミニアムには、レストランやプールのほかに、
バスケットボール練習場、室内ジム散歩道、などが完備されていた。
特に、散歩道は、川沿いに造られ、一周歩けば、30分ほどかかるかと
思われた。
道々には、南国の木や花が咲き乱れ、芝生の緑も鮮やかに、
ブーゲンビリアのピンクの花が 彩(いろどり)を添えていた。
この道なら いつでも、安全に、緊張感もなく、
ゆったり、散歩できそうだった。
“いいわねえ。確かに。ここは、天国ね”
と感想を漏らしながら、川のほとりでいただく タイ料理の味
はまた格別だった。
話題は、バンコクの福祉政策にうつる。
タイ人の平均寿命がだいたい、女性で78歳、男性で75歳前後だという。
100歳以上のお年寄りも数百人いるとかで、これから
すこしずつ、先進国のような、高齢者問題が出てくるだろうという話だった。
因みに、日本での100歳以上の高齢者は2万人に達するという。
そういう意味では、まだまだ、タイは若者の国かもしれない。
この数日間、バスや電車に乗ってバンコクの中心部に出たりした。
気がついたことは、若者が多い事、そして、駅でも公共の場でも
高齢者用の配慮があまり、見られないことだった。
例えば街中を走るバス。
手をあげて止まってもらう。
でも、バスが急いでいる時は、止まる時間が少ないので、
乗る方がバスを追いかける形になる。
乗ると、すぐ、バス内に上る階段がある。
一つの階段の高さが高い。
そして、階段は何段かステップをあがらなければならなかった。
“お年寄りは、家にいるのが多くなるのも、バスに乗ることを
あきらめているからだと思う。 あのバスに乗るのは たいへんよ“
とMさん。
核家族が増えてきているので、一昔前なら、当たり前にみられた
大家族制度が少なくなって、一人暮らしの老人問題も浮上しつつあるという。
高い入会費を払っていろいろな施設を持つクラブの会員になったり、
若い人に後れをとるまいとして、勉強する場などに お年寄りの関心が
高まっているという。
まだ、福祉領域に、タイの社会がそれほど関心を持っていないので、
これからは、そういう方面の需要が高まるだろうと Mさんは語る。
日本の デイケアーの方式などについて、いろいろ聞かれた。
デーケアーの送り迎えは
“バンコクでは無理ね。
この渋滞では、いつ、家に着くかどうかわからないからね“
とMさん。
たしかに、20年以上前と 渋滞事情はあまり変わらない。
100メートル進むのに、30分かかる時があるのも、ざらではない。
タイ・ポロクラブ
”デーケアーは 日本的ね。
こちらでは、適切な レクリエーションの場と
お年寄りのケアーに関心を持つ人たちが増えることかしら・・・”
Mさんは語る。
“日本ではなくて、タイのお年寄りのニーズ、何だか、わかる?”と聞かれた。
“それは カラオケに象徴されているのよ。カラオケに行ったんだって?
あれは、老人にはもってこいの 刺激 と 喜びを与えられると思う。”
とMさん。
その理由は、
“目立ちたい”、
“関心を引き寄せたい”、
“自分を表現できる” の三点が
タイのお年寄りが 欲しているところで、かつ、
特徴的なメンタリティーだから~という。
反対に、ホスピス的な要素、 死や生に対する考え方や
瞑想などの精神的鍛練は もう、すでにあるから、
必要ないとも言いきっていた。
その理由は、寺との結びつきが日常的だというところにある。
日本では、冠婚葬祭でお世話になる程度のおつきあいだと言えば
意外な顔をされた。
タイ人は信仰深いとよく言われるが、通常 例外を除いては、成年男子は
生涯一度は 頭を剃って、仏門に入るといわれる。
Mさんも、月に何度かは 近場のお寺にお坊さんのお話しを聞きにいくという。
精神的には、満たされている理由がそこにあるらしい。
“どんな施設が タイのお年寄りに必要だと思うの?”
と私が問えば。
“そうね、カラオケや手芸、趣味、スポーツなど、個人個人に応じた、
お年寄り学校かもね。”
という答えがかえってきた。
介護認定という制度により、国から援助が出る仕組みになっている日本と
くらべ、経済的負担はどうなのだろう?
Mさん曰く
“マイペンライ。 そういう向上心を持っているお年寄りは
経済的に余裕のある人が多いの、
タイの金持ち?
彼らは、毎日、お金をどう使っていいかわからないほど、
持て余しているものよ“と笑って、
“タイ経済が今上向きだから、こういう現象はまだまだ続くわよ”
と、いう。
ある意味、それだけ、格差社会が広がるということなのだろうが、
タイの老人福祉問題は、これから、少しずつ、浮上しつつあり、
社会で考えられる段階であることが 理解できた。
Copyright : NPO Spontaneous Healing Therapy Japan: All Rights Reserved.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます