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萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

第78話 冬暁 act.8-side story「陽はまた昇る」

2014-08-22 23:10:00 | 陽はまた昇るside story
intersection 交錯の途



第78話 冬暁 act.8-side story「陽はまた昇る」

発信履歴からコールして3つめ、応えてくれた。

「オツカレサン宮田、黒木の熱が伝染って入院かね?」

揄うようなテノールに笑いたくなる。
電話相手は調布の七機隊舎からでも新宿の公園が見えるのだろうか?
そう想わされるほど何でも解かってしまう、このアンザイレンパートナーに英二は笑った。

「おつかれさまです、国村さんの推理通りだよ?出先で熱がでたので一晩休ませてください、明日の朝7時には戻ります、」

朝7時に戻れば訓練から間に合うだろう?
それは自分だけの予定じゃない、その相手に電話ごし上司も笑ってくれた。

「はい了解、入院中に悪いけど携帯の電源切るんじゃないよ?黒木は明日も休ませるから宮田は遅刻ナシで戻って下さい、看護師サンにもよろしくね、」

からり指示してくれる声は「初めからそのつもり」が笑ってくれる。
こんなふうに言わないでも解かってくれる信頼は温かい、そして申し訳なくて頭下げた。

「ありがとうございます、いつも無理をすみません、」

本当に、自分は無理ばかり押しつけている。

まだ任官2年目の自分が警部補の上司にワガママを徹す、こんなこと普通は許されない。
自分たちは同齢でザイルパートナー同士、けれどピラミッド体質の警察社会でこんな序列違反は本来無理だ。
だから今も明らかに嘘吐いている外泊申請は無分別で我ながら困って、それでも上司で先輩は大らかに笑ってくれた。

「仕方ないね、アンザイレンパートナーに熱こじらされると厄介だからさ?きっちり一晩でナントカしてきな、イイね英二?」

軽やかなトーン笑ってくれる言葉は温もり篤い。
この篤実は自分の向こうも見つめている、その想いに笑いかけた。

「ありがとな、光一。ちゃんと治して戻るよ、」
「よろしくね、じゃ、また明日、」

また明日、こんな日常の台詞に笑って通話を終えてくれる。
その厚意とふりむいた雪の公園、携帯電話ポケットに仕舞うダッフルコート姿へ笑いかけた。

「周太、電話終わった?」

笑いかけた雪の森、ライトグレーのダッフルコートが振り返る。
くせっ毛やわらかな黒髪ゆれて振り向かす、その顔に心臓が軋んだ。

―痩せた、周太…体調が、

あらためて見つめた顔が細い。
元から華奢なところがある、けれどこんなに顎のライン細くなかった。
それでも顔色は悪くない、眼差しも穏やかに澄んで変わらない瞳が微笑んだ。

「ん、終ったよ…公園出よう?」

声も変らない笑顔は温かい、でも少しだけ変わった。
この違い何に起因するのか今は考えたくない、ただ幸せだけに歩み寄った。

「周太、出たらどこ行きたい?」

名前を呼んで笑いかけてダッフルコートの手を繋ぐ。
指くるんだ手は相変わらず少し小さくて、けれど少しだけ節太くなった。
いくらか逞しくなっている、その理由ごと繋いだ手をコートのポケットにしまいこんだ。

「…あ、」

ポケットの手に小さな声がため息吐く。
くるんだ掌そっと力こめながら温もりに笑いかけた。

「周太こそ手が冷えてるよ、まだ雪残ってるし寒いもんな?」

この冷え方は緊張の所為だろう?

そう解かるけれど今は知らんふりしていたい、だって普通の幸せが今欲しい。
きっと今夜は現実から知らんふり出来るはずもなくて、だからこそ今ひと時の幸せに隣も微笑んだ。

「ん…寒いね?寒いなか待たせてごめんね、英二、」
「雪の寒いのは好きだよ、」

笑いかけ手を繋いだまま歩きだす。
コートのポケットのなか繋いだ手ゆっくり温まる、この温もり離したくない。
それでも明日の朝には離れてしまう、だから今少しも逃したくない時間に訊いてくれた。

「あの、先週の救助おつかれさま…奥多摩の雪たいへんだったでしょ?」

こんな会話は久しぶりだな?
この声に訊かれることが唯嬉しい、その想い素直に笑いかけた。

「真白で綺麗だった、周太に見せたかったよ?」
「ん…てれびで見てました、美代さんにも聴いたけど、」

答えてくれる声なんだか羞んでいる。
何を恥ずかしがっているのだろう?すこし考えて尋ねた。

「周太、積雪量を美代さんに聴いてくれるなんてさ、そんなに俺のこと気にしてくれてた?」

だったら嬉しいな?
そんな願望と笑いかけた隣、黒目がちの瞳がそっぽ向いた。

「…しりません、そんなことより公園でたらどこいくの?」

そんなことより、なんて冷たいよ周太?

気にしてくれてるのか自分には大事で「そんなこと」なんて言えない。
けれど言ってくれる横顔に傷ついたことすら嬉しくてポケットの手握り笑った。

「周太のリクエスト無いなら俺の行きたいとこ行くけど、周太?」
「…ん、なに?」

まだ瞳そっぽ向いたまま、だけど相槌してくれる。
こういう感じは懐かしい、その記憶に笑いかけた。

「オールで呑むか?」

この台詞は1年3ヶ月前も笑いかけた、そしてあの夜を選んだ。
このこと君も憶えてくれている?そうあってほしい願いに続けた。

「大学の時にさ、サークルやコンパで終電逃すと仲間と朝まで呑んだんだ。ビジネスホテルに泊まって呑むんだけど、そこでいい?」

あのとき夏の終わりだった、あれから二度目の冬だ。
もう季節ひとめぐり半してしまった、それでも自分はあの日を忘れられない。
そして君も憶えていてくれるなら?そんな願いに黒目がちの瞳は穏やかに笑ってくれた。

「いいよ、ゆっくり話せるの今夜の後いつかわからないし…任せるから、」

ほら、あの日と同じ言葉が還ってくる。

『いいよ…呑むんだろ、朝まで。ゆっくり話す時間、今夜の後はいつか解らないし。場所とか宮田に任せるから』

ぼそりと答えてくれた、あの声も貌も忘れるわけがない。
少しぶっきらぼうで恥ずかしそうだった、けれど今は穏やかに笑って見あげてくれる。
あのときと違う声と貌、それでも首すじ染める薄紅色はあの夏の終わりと同じで、そして繋いだ手は温かい。

このまま君と、ずっと。



(to be continued)

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残暑雑談:晩夏の夜咄×今昔物語集

2014-08-22 23:00:00 | 文学閑話散文系
宵に涼んで、



残暑雑談:晩夏の夜咄×今昔物語集

八月葉月、残暑お見舞い申し上げます。

って聴き慣れた言い回しだと思いますけど、
目上の人に宛てる時は「お見舞い」→「お伺い」が正しいそうです。
元より「見舞う」は同等or目下に対して使う言葉、なので敬語「伺う」を使う方が正しいんだとか。

夏と言えば残暑見舞いの他にも海とか西瓜とか、
呑兵衛なら冷酒にビール、甘いモン好きなら寒天菓子・かき氷とかアレコレあると思うんですけど、
夏場の和菓子屋では水まんじゅう見かけますが、アレは冷水浮べて水ごと食べるそうですけど元来は冬が旬だと聴いたことがあります。

なんて書くと夏って意外なモンが多いなとも思いますが、
夏になるとテレビも怪談モノ大概やりますけど、怖いと涼しくなるカンジする所為なんですかね?
大学のとき家庭教師+塾講師のバイト掛持ちしてたんですけど、生徒全員が怪談話好きで休憩時間にナンカしら話しました。
ああいう怪談話ネタで小説書こうとかは思わないんですけども、ネタという意味ではカナリ持っています、笑
で、怪談話でいちばん怖いかなって思ったのは、

『今昔物語集』巻第二十七 本朝付霊鬼 

この第27巻は怪奇譚集なんですけど、ソコラのホラー映画とは違う怖さがあります。
いわゆる「得体が知れない」恐怖、心理の底にあるモン揺するカンジでじわじわくる怖さです。
短編集なんですけど物語の舞台は京都市中全般、粟田口とか一条戻橋とか宇治橋とか地名リアルに出てきます。
で、コレ読んじゃってから京都を歩くとドコ歩いていても怪奇ツアーになっちゃうんですよね、笑
そんなカンジなので修学旅行とかで京都に行くならガイドブックとしておススメです、

ついでに、京都怪奇譚ツアーな話ですけど、
自分が行ってみてうわーと思ったのは東山安井あたりの六道珍皇寺。
六道=地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天界 といった仏教にある六つの世界の総称ですけど、
ソンナ名前を関するだけあって地獄の役人だった小野篁が地獄への通勤に使っていた井戸があるらしい寺なんですが、
ここに小さな祠みたいなお堂があるんですけど、ソレが×の板を打ちつけられて封印みたいのがされているのがリアル妖しい雰囲気でした。

この東山界隈は夜に歩くと空間ちょっと変わるカンジで、
京都の大学に在学+就職も京都な友達がいるので学生時代から何度も遊び行ってるんですけど、
友達と二人で飲んだ帰り道、近道しようか思った小道や寺社がヤタラ真っ暗な時があって止めたこともありました。
まあ、千年も都やってた所なんで色んなモンがいても不思議じゃないのかなーとか思います、笑

なんとなく怪談系の話になっちゃいましたけど、苦手な方いらしたらすみません、笑

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short scene talk ふたり暮しact.66―Aesculapius act.79

2014-08-22 19:41:00 | short scene talk
二人生活@帰省7本宅浴場
Aesculapius第5章act.8-9の幕間



short scene talk ふたり暮しact.66―Aesculapius act.79

「雅樹さん、新しい木の香するよ?佳い匂いで広くって気持イイね、(御機嫌笑顔)(木の縁の風呂ってイイねっ嬉)」
「うん、佳い匂いだね、檜の香だけど光一は好き?(笑顔)(って檜の香だけじゃない水仙みたいな甘いこの香は照×悶々スタート)」
「うんっ、檜はイイね、このウチの山から伐らせてもらったんでしょ?(御機嫌笑顔)(自分ちの木でつくるってナンカ有難みあるね)」
「そうだよ、杢田さんが選んで伐りだしてくれて、光一の家具もウチの山の木だけど(笑顔×照)(ああ光一の肌が湯気で火照りだした桜色きれい萌照どうしよう僕ちょっと悶々)」
「ん、あの家具ドレも大好きだね、ね、タイルの蒼い模様もイイカンジだねっ、風呂のタイル石もイイね、(御機嫌笑顔)(思った以上にイイカンジだねっ嬉)」
「この木の縁と浴槽の石造は昔も同じだったよ、光一、背中流してあげようか?(笑顔×照)(今ちょっと見られると恥ずかしいから背中向けてもらう方が照悶々)」
「ん、頭も洗ってねっ(上機嫌笑顔)ね、こんだけ広い風呂だと一緒に入るの窮屈じゃなくってイイね、(マンションの風呂ちっと狭いからね)」
「そうだね、湯島の家だと二人一緒はすこし狭いから(笑顔)(狭いと逃げ場ないんだよね僕それで前も困ったし照ここなら広いし湯気で誤魔化せるかな照悶々)」
「でも狭いとくっつけてイイよ?雅樹さんに抱っこしてもらって浸かるの好きだもん、(極上笑顔)(あれしてもらえるの俺だけだもんねふふふんっドヤ御機嫌)」
「あ、照真赤(あああ光一そんなこと言っちゃダメだよ反応しちゃうよ僕どうしよう照悶々なんとか納めないと難しいコト考えごとしよう)」
「雅樹さん背中流すのホント上手いね、きもちいいよ?(御機嫌笑顔)(俺もお返しするもんねっ肩も揉んであげたいね雅樹さんオツカレだし)」
「そう?(笑顔)(脳はタンパク質とビタミンBが欠乏するとダメなんだ脳内ホルモンのバランスが崩れる喘息には)」
「ね、こんどは俺が背中流してあげるねっ(御機嫌笑顔)(雅樹さんの肌すべすべ洗うの楽しんだよねっこれ出来るのも俺だけだもんふふふんっドヤ嬉)」
「え、(まだ治まりきってないよダメだ待って光一そうだ)先に頭洗ってあげるよ?(笑顔)(その間に治まれ難しいコト考えよう喘息に使う薬は)」



気分転換に会話短篇UPしました。雅樹と光一@本宅入浴の攻防です、笑

Aesculapius「Chiron 智者の杜9」校了しました、雅樹と光一@縁側から庭の夜涼みです。
第78話「冬暁8」これから加筆校正します、英二と周太の再会シーンです。
それ終わったらAesculapiusの続きか短編連載を予定しています。

取り急ぎ、



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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚189

2014-08-22 01:03:02 | 雑談寓話
雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚189

1月最初の土日、花サンとの雪山から帰宅して花サンと歯医者のメールに返信して、
それから3通目@御曹司クンに返信したら電話が来て、

「そのへん話したいから…明日とか時間つくってくんない?」

なんて言われた翌日月曜、フツーに仕事へ行った。
正月明けの職場はナントナク休み気分で、だけど相変わらず忙しくて、
そして特設だったはずのプロジェクトチームは解散しないまま第2弾をこなしていた、

「なー元の所属に帰れるって話だったのに、いつだろな?」
「このまま延長されそうだよね、今回の次第ではさ、笑」
「延長かーキツイけど慣れても来たからなー、」

ってカンジの会話たまにしながら仕事&同僚お互い慣れてきていて、
本音のとこ今のままでも良いかなーなんて自己都合もあった、
だって元所属に戻ったら席は御曹司クンが目の前だ、

っていうか御曹司クン+花サン+坊ちゃんクンもいる、
ソンナとこに今さら席が戻ったらアレコレメンドクサイことになるだろう?
そういう予想は簡単だったから今のままでいいかーなんて考えながら仕事して終業後、20時過ぎくらいに上がった、

で、エレベーター乗ろうとしたら御曹司クンが飛びこんで笑った、

「はー…捕まえれた、おつかれー、笑顔」

ホント捕まった感だよね?笑
なんて感想と笑って言ってやった、

「待ち伏せしてたワケ?笑」
「ある意味そう、」

ってカンジに即答うなずかれて、ちょっと困った。
待ち伏せするほど待ちかねられていた、そんな相手の本音を今から聴くことになるワケだけど、

たぶん話長くなるんだろな?でも月曜から遅くなるのキツイなー、

とか正直なトコ思うわけで、
だから正直なまんま言った、

「月曜だし1時間きっちりで帰るよ?笑」

週末は出掛けて雪山で、ソレで月曜から飲みとかホントのトコキツイ。
だから出来るだけ早く帰って寝たいなーって本音に御曹司クンは少し凹んだ、

「なーそんなに俺の誘いって迷惑?凹」

その質問ちょっと回答迷うよね?
なんて正直な感想そのまま言った、

「友達づきあいは楽しいけどね、今回みたいなことは迷惑、笑」

まだ職場ビル内、だから敢えてボカした言い方した、
御曹司クンも花サンも同僚、ソレが揉めてるなんて職場空気に悪い。
だからボカした糸を当然理解したろう御曹司クンは黙りこんで一緒にエレベーターを降りた、

今の台詞かなりダメージ力あったかな?

そんな横顔にちょっと可笑しかった、
これだけ凹んでくれるなら少しは解かってくれたろうか?そう期待しながら訊いてみた、

「で、なに系の店に行きたいワケ?笑」

理由なんであれ凹ませたのは可哀想だ、
だから行先に譲歩したら御曹司クンは言った、

「おまえん家に行きたい、」

こいつマジなに言ってんだろね?
こんなメデタイ返答に笑ってやった、

「却下、笑」
「うぅ、そんな即答で拒まなくてもイイじゃんかー凹」
「ダメモト言ってる分だけ時間減るけど?笑」
「う、じゃあ俺の好きなトコ行く、」

なんてカンジに話まとまった先は昨冬、一年前のクリスマスに行った店だった。
で、お決まりなジントニック頼んだら届いた一杯目、同じモン2つ来たから笑った、

「おまえいつもビールじゃん、なに真似っこしてくれてんの?笑」
「俺も今日はジントニックな気分なだけだし、拗」

って返事してくれた貌は拗ねながらナンカ照れてて、
こういう貌されるとあんまり憎めないなー思いながら呑みはじめたら御曹司クン訊いてきた、

「あのさー…やっぱオマエの中で俺ってワルモノで邪魔者?」

あ、こういう質問って切ないな?って正直思った、

邪魔者アツカイ悪役ワルモノなんて誰でも嬉しくないけれど、
それは御曹司クンみたいなヤツにとったら慣習化している感覚かもしれない?
そんなこと想ったまんま質問返しで訊いてみた、

「おまえがバイでゲイだから邪魔者ワルモノになってるんじゃない、ってコトは解ってる?」

そこんとこ勘違いしないでほしいな?
そう笑ったグラスの向こう暗い照明の下、たぶん赤くなった御曹司クンが言った、

「っ、そんなハッキリ言うなよバカ(照拗)…でも、ありがと、」

こんな返事なら解かってるのかな?
そんな相手に遠慮なく訊いてみた、

「なんでありがとうナンテ言うワケ?笑」
「だって、俺のこと差別とかしてないじゃん、そういうの嬉しいから、」

そう答えて御曹司クンちょっと笑って、その笑顔がなんだか哀しかった。
こんなふうに素直に「差別とかしてない」とか「嬉しい」なんて言うアタリ御曹司クンの孤独感は強くて、
それだけ孤独だから花サンにも結局は酷いヤツにしかなり得ていない、そういう行き違いみたいなものが哀しかった、

もし御曹司クンがゲイでもバイでも無かったら違うのかな?

そんな仮定形を考えても仕方ないんだけど、
でも昨日一昨日ずっと見ていた花サンの手首を想うと遣りきれなくて、
そこらへん御曹司クンにも解ってほしい、ナンテ想うこと自体が自分も甘いかもしれないけど言ってみた。

「おまえ、年越カウントダウンの後で花サンの手首って見た?」

たぶん見てなんかいないだろう?
そんな予想通りに俯き加減の声が応えた、

「見てねーけど…見てるわけ無いじゃん、」
「だったら見てみな?」

即答して見た向こう御曹司クン目が大きくなって、
なんでだろ解らないって顔するから教えてやった、

「おまえが少しでも花さんのコト大事に想うなら、ちゃんと向きあいな?おまえの身勝手が付けさせた傷だから、責任ないとは言えないだろ?」

花サンが自傷行為するのは死ぬためじゃない、生きてる確認したいだけ。
痛覚にすら縋っても生きてる実感していたい、そういう生き方を否定することはしてほしくなかった。
きちんと向きあって受けとめて、それから謝って自傷の原因点を償ってほしい。それくらいの誠意は期待したい相手は言った、

「でも俺には田中さん、心開かねーもん…おまえとは違う、」
「おまえも花サンに心開いてないだろ?だから会話にならないんだろが、」

想ったまま率直に言ってやっぱり困るな思った、
御曹司クンと花サンはお互いに歩み寄るツモリが結局ない、それなのに寄添っちゃった時間がある、
そこには恋愛感情ゼロってことは無いと信じてあげたかった、でもそれは御曹司クンの為より花サンの為でしかない、

なんて自分の考えを気づけないまんま御曹司クンは言った、

「別にイイもんね、どーせ元から会話なんかホントには出来ないしさー…おまえみたいに言わないで解かってくれるのが嬉しいし、大好きになる、」

今すでに会話成立58%って気がするけど?

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Aesculapius「智者の杜9」とFavonius「少年時譚 act.35」読み直したら校了です。
その校正が終わったら第78話の続きを予定しています、

この雑談or小説ほか面白かったらバナーorコメントお願いします、続けるバロメーターにもしてるので。
楽しんでもらえてたら嬉しいんですけど、ってことで短いけど続きです、笑

取り急ぎ、



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