おかんのネタ帳

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明日ー1945年8月8日・長崎

2019-07-23 22:56:40 | 演劇・舞台
大好きな俳優さんが出演する舞台「オリヴァー・ツイスト」を観に上京し、
ついでに?同じ、東京芸術劇場の中にあるシアターイーストで、
青年座「明日ー1945年8月8日・長崎」という舞台を観てきました。



オリヴァー・・は、2階のプレイハウス(中ホール)、キャパ800あまり、
こちらは地下にあるシアターイースト(小ホール)キャパ270席あまり。
・・・ちなみに、昨年、その隣にあるシアターウエストにも行きました~



時計が印象的なチラシですけど、それが象徴的なんですね。

8月8日というのは・・・
滋賀県では琵琶湖大花火大会のある日ですけど、
そう、長崎に原爆が落とされる前日、なんです。

この舞台は、翌日の8月9日11時2分、長崎に原子爆弾が投下されるまでの時間、
そこに生きていた人々のささやかな日常が描かれます。

なので、何度も、「明日は・・」という台詞が出てきます。
狭くて、しかも中央が壁で仕切られた回る舞台で、
エピソードが変わるたびに回転するんです。
そして、総勢16人のキャストが登場。

上手に仕切られたオケBOXまであります。
オーケストラではなく、ピアノ、バイオリン、チェロの、ナマの三重奏。
これがなんとも素敵でしたねぇ~

あらすじは・・・(劇団HPより)
1945年8月8日、三浦家では泰一郎、ツイ夫妻の次女・ヤエと
製鋼所の工員・中川庄治の婚礼が行われようとしていた。
空襲警報が日々の習慣の中、人々は若い二人の門出を祝おうと集った。
仲人役の助産婦。市電の運転手・水本広と妻満江。
刑務所に収監されている堂崎彰男の妻でヤエの叔母ハル。
新郎庄治の義父で元コック、今は写真で生計を立てている銅打弥助と後妻みね子。
暗い情欲に突き動かされ娼家を彷徨う石原継夫。
ヤエと大学付属医院看護婦養成所の同期生福永亜矢。
それぞれが事情を抱えながらも生きている。
口之津の病院から娘の身柄引取りを告げられた山口由信と妻キヨも又そうだった。
それでも人々は「明日」を信じて懸命に生きていた。
一方、ヤエの姉ツル子は臨月を迎え、
陣痛に耐えながら初めての子の誕生を待っている。
8月9日早朝、晴れた朝の空気に赤子の産声が明るく響く。
そして柱時計はコツコツ時を刻み、11時2分に向かって進んでいくのだった。

原作は井上光晴の小説。
小松幹生・脚色、初演は、鈴木完一郎・演出。
2009年に鈴木さんが死去したので、再演されなかったけど、
今回、初演と再演に出演した青年座の俳優・山本龍二さんが
演出補として作品を引き継いだそうです。

終演後にトークショーがあり、演出補の山本さん、
初演の時の制作だった、水谷内助義さんが登壇、
原作の故・井上さん、鈴木さんのことを含め、作品のお話をされました。
いろんなお話が聴けて、面白かったですね!

ナマ演奏も、鈴木さんの発案で、
演奏曲のベートーベンの悲壮第二楽章も、
こだわったものだったとか。

「ちょっとヘンな趣味みたいに(彼女たちに)セーラー服を着せてますけど」

山本さんの言葉に、ちょっと会場も苦笑。
戦時下の雰囲気づくりなんでしょうかねぇ。

そして、鈴木さんの演出は、まさしくパワハラで!
今だったらとうてい世間に受け入れられないだろうと、おっしゃってました。
少しずつ、山本さんが変えたところもあるようですけど、
追悼の気持ちを込めての再演だそうです。

壁に柱時計。
最後に、舞台が回転し、記念写真を撮る感じに全員が並びます。
原爆 → この時は、新型爆弾と呼んでましたね。
広島に落ちた二日後ですが、まさかこのあと、ここに落ちるなんて・・・
それを、見ている私たちに想像させて、物語は終わります。

なかなか良い作品でした。

鑑賞会で選ばれるといいなぁ~



翌日は雨もやんで、でも、曇りの東京。