団塊世代の人生時計

 団塊世代として生きてきた「過去」、「現在」、そして「未来」を、自分自身の人生時計と共に綴り、「自分史」にしてみたい。

奇蹟の人(話題)

2008-03-04 20:29:51 | Weblog
               奇蹟の人(話題)

                          2008年3月4日(火)作成

 「うぉー・・うぉー・・」。その瞬間、ヘレンは喉から絞り出すような声を上げた。ポンプで汲み上げた水に触れ、幼児の時の微かな記憶が呼び覚まされたのだ。奇蹟が起ったのである。「ものには名前がある」ということを遂に、ヘレンは分かったのだ。

 「うぉー」というのは、6か月で片言を話しだしたというヘレンの「water」という言葉なのである。

 ヘレンの家庭教師としてきたサリバン先生は、若干20歳だ。自らも「盲目」の経験があるサリバン先生は早速、ヘレンに指文字を教える。人形をヘレンに与え、「d o l l」。「ものには名前がある」ということを。もともと利発なヘレンのことである。指文字は直ぐに覚える。しかし、それはヘレンにとっては、ただ単に遊びでしかない。

 食卓のまわりを我が物顔で歩きまわり、わしづかみで食物を食べるヘレン。この暴君のようなヘレンとサリバン先生との格闘が始まる。力づくでヘレンを服従させるが、それはしかし、「調教」でしかない。
 それでも、母親は「あのヘレンがナプキンをたたんだ。」とサリバン先生に心を動かされ、自らも指文字を学ぼうとする。

 サリバン先生の力の支配に不満な父親は、ヘレンとサリバン先生を離そうとする。サリバン先生は2週間という時間をもらい、ヘレンと二人だけの生活を始める。ヘレンは編み物をするようにまでなり、従順になる。その様子を見て両親は満足する。

 それでも、サリバン先生の苦悩はまだ続く。闇の中にいるヘレンを救うのは、「ものには名前がある」ということを知らせることだ。「名前を知ればヘレンに世の中をあげられる。」とサリバン先生は考える。

 2週間経ち、「従順なヘレン」に対する家族の歓迎の晩餐が始まる。
 ・・と、ナプキンを捨てるヘレン。それを付けるサリバン先生。またしても、捨てるヘレン。家族の前ではサリバン先生に服従しないのだ。サリバン先生は、ヘレンをポンプの処まで引きずり、ヘレンに水をかけ、「w a t e r」と指文字で綴る。そして冒頭のシーンになるのだ。

 「ばーん・・ばーん」と大地よ割れよとばかりに叩くヘレン。そして手の平を上げ指文字を求める。サリバン先生、すかさず「g r o u n d」。
 ポンプの処に行くヘレン。サリバン先生「p u m p」。
 母親を探すヘレン。「m o t h e r」。しっかりと抱き合うヘレンと母親。
 父親。「f a t h e r」。抱き合う。
 そして、ヘレンはサリバン先生のところに行く。「t e a c h e r」。サリバン先生は、ヘレンの手を頬にあて、大きくうなずく。サリバン先生はヘレンの頬に接吻し抱き合う。
 ヘレンはサリバン先生の手に綴る。「I l o v e y o u」。

 「とめどなく流れる涙。」
 あっ、これはト書きではない。
 妻も泣いていたようだ。

・紹介
 2月24日の中国新聞によると、広島市で活動する劇団月曜会が、創立50周年記念で公演する「奇蹟の人」。
 3月1、2、8、9日、広島市中区榎町の「アッカー」で。大人2,000円也。
劇団月曜会(082-234-9656)
・推奨度「★★★★☆」

(写真)この芝居で使ったポンプです。
 実際に水が出る「優れもの」で、近くの観客にしぶきがかかっていました。
 涙を流すよう「誘い水」だったのかもー。
コメント
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