2008年3月12日(水)作成
後期高齢者(75歳以上)に対する「差別」医療制度が、4月からスタートする。
法律の名称を見て、びっくりした。「高齢者の医療の確保に関する法律」とあるではないか。
私には、高齢者に対して、恩着せがましく「医療費を確保してあげる」という風に読める。
これまで医療保険は、国民健康保険、健康保険、共済組合であったものが、75歳以上の高齢者のみを対象とする「医療保険」を新たに設けることにしたのだ。介護保険のイメージに近く、全員が被保険者になり、「被扶養者」という概念はなくなる。
私は、この制度は、「保険」という意味で、非常に問題だと考えている。「保険」というのは「リスク分散」をねらいとしているもので、高齢者のみを対象とした「保険」は、加齢に伴い医療費が増加するので、むしろ「リスク集中」になる。こういうものは本来の「保険」とは言えない。
医療の内容でいうと、診療報酬が別体系になり、「包括払い(定額制)」が導入され、例えば、どんなに検査や処置をしても、定額しか支払われず、そのため、必要な検査や回数が減らされる恐れがでてくる。
また、「外来主治医」制度が導入され、原則、患者1人に1人の主治医とし、高齢者が複数の医療機関にかからないようにすることで、医療費を抑制する。
75歳未満の患者は、自由に医療機関を選べるのに、75歳以上の患者はそれが「制限」される。これを「差別」と言わずしてなんと言うのか。
広島県医師会の元トップが、「姥捨て山だ」と言ったのを、私は直接聞いた。
私は、人類最大の叡智は、「社会のシステムとして、高齢者が生存できるようにしたこと」にあると思っている。このシステムが崩れ始めた。
もう一つの人類最大の叡智は「H」。あっ、これは単なる語呂合わせですから、気にしないでください。(ばほ)
「ばほ」とは、「ばか」と「あほ」を足したようなイメージです。
(写真)本文とは、関係ありません。
2008年3月10日、広島市内福屋デパートの「草刈創作家具展」で撮影。
妻が、この「花瓶」を狙っています。