水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

7月18日

2011年07月18日 | 日々のあれこれ

 一年生は合奏、上級生は自主練日にした。
 午後余裕があったので、集金袋の整理や、明日配布する学年だよりを書く。


「学年だより№5~7」

 およそ1年で117㎏から67㎏というダイエットをした岡田斗司夫氏は、特別な方法をとったわけではない。「何を食べたかを記録すること」、岡田氏の方法論はこの1点だった … という話を、昨年度末に書いた。
 さらにその続きを書こうと思っててそのままだったので、書きます。
 
 夏休みを迎えて、自分を高めるための時間がたっぷりあるような、お金持ちになったような気分になっている人も多いのではないだろうか。
 そして、いろいろ計画を立て、二学期を迎える頃にはとんでもない成果をあげている自分をイメージできている人もいるだろう。
 それ自体は重要なことだ。
 将来の自分、成長した自分をイメージしてうっとりできたなら、それは大変なモチベーションになる。
 ただし、そのためにあまりにも綿密な計画を立てるのは危険だ。
 計画は通常そのとおりにはならない。
 計画通りにものごとは進むはずだと考える人は、自分の力を過大評価した傲慢な人であるとさえ言える。
 計画は思うようにならないのが普通なのだが、思うようにならないことにストレスを感じるはじめると、勉強の効率は落ちていく。
 ざっくりこれくらいやろう、というぐらいの計画を立てればいい。
 そして計画は、時間ではなく量で決めないといけない。
 英語を何時間やろうでなく、この問題集の何頁分をいつまでにとか、模試の解き直しを3セットとか、具体的に決める。
 勉強をしていること自体が目標ではなく、その勉強によって違う自分になることが目標だから。
 量をこなしていくためには、おおざっぱな目標と、綿密な記録が必要になる。
 昨年度末に書いたことをもう一回載せる。
「目標に向かって計画を立てることは重要だ。
 しかし、計画はあくまでも計画であって、明日の自分、一週間後の自分、一年後の自分がどういう状態であるのかがまったくわからない段階でつくっているのが計画である。
 結果的にまったく方針変更をしなければならない事態もおこりうる。
 だから、計画を作成することに時間をかけるよりも、毎日何をやったのかをきっちりとレコーディングしていくことの方が、今のみんなには必要だと思う。
 ノートでも手帳でもメモ帳でもペラの紙でもいい。
 日付を書き、何を、何分やったかを、ひたすら書いていくのだ。
 そうすれば、自分の生活の方向が、目標とあっているかどうかはすぐに明らかになる。」
 とにかく記録すること。記録することによって自分という人間を客観化すること。
 これを岡田氏は「レコーディング」とよび、「すべてに応用可能な、『奇跡を当たり前にする』技術」だと述べた。


 世の中には、「○○の成功哲学」「成功する人間になる方法」「リッチでモテモテになる秘密の○○」といった本が山ほどあふれている。
 私も、そういう本を見かけるとつい手にしてしまい、今までに少なく見積もっても段ボール5箱分くらいは読んできた。
 すべての本に共通して述べられていることは何か。
 それは「書く」ことの大切さだ。
 ノートであれ、手帳であれ、目標設定シートであれ、形式は様々だが、成功するため、目標達成のための具体的手だての説明の頁になると、必ず「書く」ことが述べられている。
 「自分の目標を紙に書いて見えるところに貼る」なんてのは、ほんとにどの本にも書いてある。
 また「受験を突破する技術」「資格をとるための方法」系の本には、勉強時間を確保するにはどうしたらいいかという話が必ず出てくる。
 これも、多くの本で述べられているのは、「まず毎日の勉強時間を記録することからスタートしよう」という話だ。
 これはまさしくレコーディングだ。
 「レコーディング」と言うとかっこいいが、結局日記を書く、業務日誌を書く、学習記録をつけるというただそれだけのことなのだ。
 それ自体は難しいことではない。
 しかし、「毎日」「もれなく」「細かく」というレベルでの記録になると、ちょっと大変になってくるだろう。
 そのこと自体はたいしたことはなくても、徹底されることによって、大変な効果をもたらすことが多々ある。
 実際に書き始めてみるとわかるのだが、純粋にやったことを記録していくと、一言よけいなことも書きたくなるものだ。
 今後の課題とか、やろうと思いついたこととか、不安に思ったこととか。
 それらもすべて書き留めておくといい。
 ちょっとした思いつきも、書き留められることによって、実行にうつされる可能性がきわめて高くなる。
 どんなすばらしいアイディアでも、書かれないとすぐに消え失せてしまう。
 取るに足りないアイディアでも、書かれ、実現されることで最終的には大きな成果を生み出す。
 不安や悩みは、書き出されることによって、いったん気持ちが落ち着く。
 書きもしないでもんもんとしてても、いい方向にいくことはない。
 誰かに相談してみるという手も効果的だが、書くのが一番てっとりばやい。
 書き留めておいて、ペンディング(保留・先送り)しておけばいいのだ。
 人生の悩みなんて、簡単に解決できるものではないのだから。
 だからこそ悩みの種にもなるのだし、悩むからこそ人間ではないか。
 気になることはペンディング。
 そうしているうちに解決してしまう悩みなんてのも、実はけっこうあるものだ。


 ~ 実は、自己コントロールというのは、体重管理だけに有効というわけではない。お金や仕事、人間関係や自分の将来など、広範囲に応用可能なのだ。何か迷ったとき、目標があるのにうまくいかないときには、要素を書き出してみよう。
  … 書き出したからといって、無理やりに答えを見つけなくていい。考えたことや悩んでいることを文字にして客観的に見られるようにする。それだけで充分だ。
 悩みや迷いや計画を毎日レコーディングし続ける。つまりこれが「助走」だ。
 するとある日、いくつかの悩みが「同じパターン」であるとか、「ひとつの行動で二つ以上が解決する」のがわかる日が来る。そう、「離陸」だ。
 なにをやらなければならないか。いつ、それに取り掛かるか。できないとすれば、理由は何か? 代替案としてなにが考えられるか?
  … 悩みや問題に、毎日答えなんか出さなくてもかまわない。毎日答えが出せるくらいなら、悩んだり困ったりしているはずがない。逃げないで、押しつぶされないで、ただひたすら、毎日レコーディングを続けてみよう。
  … 自分の内面や気持ちなんて不確かで、誰にもわかってもらえないものだ。同じく、人生そのものも一寸先は闇、その中を手探りで進まなければならない。まるで暗闇の中を飛ぶ飛行機のように。でも、レコーディングはあなたという飛行機に、いつも位置や方角や速度を教えてくれる。人生そのものが夜間飛行のようなものだ。悩みや迷い、それらから脱出するための計画やヒント、日々の思いをレコーディングすることこそ、人生を計器飛行することである。(岡田斗志夫『いつまでもデブと思うなよ』) ~


  未来を作るのは今の自分であり、今の自分は過去が作っている。
 過去にこだわりすぎて前に進めないのはよくないが、未来は過去から現在への延長上にあることもゆるぎのない事実だ。
 突然変異は起こらない。
 過去をレコーディングし、少しずつ、一歩ずつ未来への方向性を改善していくことによってのみ、未来は変えうる。
 今日の学習内容を記録するという、ほんの数十秒の積み重ねは、必ずみんなの未来を変える。

コメント (1)
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