水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

宿題

2014年08月29日 | 教育に関すること

 夏休みも終わりか … 。
 あー、休んだー … という感覚がないけど、それはありがたいことだ。
 いづれ訪れる一年中休みの日がこわくてしょうがない。どう過ごそう。
 考えてもしょうが無いことは、考えてもしょうがないな。

 小講堂に掲示してある「夏休み宿題チェックリスト」も、だいたい埋まってきた。
 以前ほどきびしくチェックしてないのは、文化祭直前に居残りになり合奏に出られないなどという子は、まあその程度だったと思えばいいのかなとの達観が強くなっているからかもしれない。

 夏休みの宿題代行業が最近はあるという。
 学生時代、なかば冗談で、メシおごるからレポート書いてくんないなんて会話をしたものだが、今はれっきとした商売が成立しているようだ。
 それはたとえば小学校の読書感想文といった宿題にも対応しているそうで、学生バイトではなくプロが書くことをうたい文句にする業者は、400字の原稿用紙1枚で数千円の料金がかかるという。
 400字なんて、このブログレベルでいいなら数分でかける量ではないか。
 一枚数千円て … 。なんで、こっそり連絡くれないのだろう。
 その半分で、いい仕事してあげるのに。

 直接ブログを読んだのではないが、尾木先生が、こう述べているそうだ。


~  「子どもに詐欺の正当性を教え、お金でなんでもできるという歪んだ価値観を教えることになります。子どもの学力を奪い誤魔化すことになりますね」
   また、宿題代行サービスに従事している大学生には、「このような『教育詐欺』への加担からすぐに撤退してください!」と訴えた。「読書感想文の原稿用紙1枚が、どうして中3で、5500円もするのですか!? 四~五枚代筆すれば、それだけで三万円近く! これは大学教授の水準をはるかに超えた暴利ですよ」として、「勇気を奮って撤退してくださいね…尾木ママ、信じていますよ」と締めくくった。 ~


 ああ、教育者にあるまじきことを述べてしまいそうだ。
 お金ですむんだったら、別にいいんじゃないかな。
 そうやって代行してもらうことで浮いた時間を、海で泳いだり、山へ虫とりにいったり、『大宇宙の少年』読んだり、もっと夏休みらしい有意義なことに使ったらどうだろう。
 代行してもらって、学校に提出して、ばれないのなら、それでいいと思う。
 先生も、ちゃんと読んでないということなのだから。
 たとえば読書感想文の書き方をちゃんと指導できる先生って、小学校の先生全体の何割いらっしゃるだろう。
 国語がご専門で、山田式感想文をきちんと学んだ先生なら指導できるかもしれないが、「書き方は自分で考えろ」的指導の先生は相当数いらっしゃるのが現実ではないだろうか。
 自分でうんうんうなって、むだに時間かけてやっとのことであらすじをまとめる程度の作業をするのは、時間のむだだ。
 代行で済ませようと考える人は、学校の宿題をその程度のものとしか考えてないということだ。
 そう思う本人が悪いのか、つまんない宿題をだす方が悪いのか。
 代行で提出されて気づかない方が悪いのか。

 そうやってお金で他人に依頼するのがだめなのだろうか。
 しかしそれも、われわれは基本的に自分でできることでも、いろんな人にやってもらって、それに対価を支払うことで現代社会は成り立っている。
 たとえば介護サービスはどうか。
 田舎に住んでいて、お嫁さんが老いた親の面倒を外部に委託すると、あの家の嫁は人情味がないとか厭味を言われたりするなんてこともありそうだが、そういうのはどうなの。
 ベビーシッターはどうか。家事代行は?
 外食産業は、食べ物を調理するという人の営為を委託するところから成立している。
 尾木先生が言われる「教育詐欺」という言葉は、あまりに感情的で、教師側の都合しか見てない言葉に思えるのだ。

コメント
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