学年だより「ゲシュタルト」
勉強ができるできないの差は、書く(書いた)量に端的に表れる。
「書いた量=勉強量=成果」ということだ。
これだけはまぎれもない事実で、たくさん書いた子ほど結果を残す。
川東の歴史にかぎっていえば例外はない。
自分の頭で考えることが大切だとよく言われるが、純粋にぼおっと考えている時間は、わたしたち凡人の場合はほぼ無に等しいのだ。
エンピツを持って字や絵をメモしながら考えているときにのみ、脳は働いているということだ。
「凡人は」と書いたが、「天才」とよばれる偉人達は、むしろ図や絵をたくさん書き残している。
メモそのものが「人類知」の一つとなっているくらいだが、それらは「書く」ことと分離しては存在しえなかった。
脳に直結する手を「動かす」という行為、そして書く際に必然的に意識する「レイアウト」の感覚が、脳を働かせる。
書き出されることによって、文字情報や、羅列された項目が、ひとつの「ゲシュタルト(まとまった形態)」になっていく。
今春東大を卒業したアイドルの桜雪さん(「仮面女子」メンバー)は、アイドル活動と並行しながら東大受験を目指した一浪時代に、さまざまな勉強法を工夫し、取り組んだ。
~ 環境問題などでも使われますが、システム論という考え方があります。
三省堂の『大辞林第三版』には「部分や要素に還元されず、逆にそれらを決定する全体性を対象とする分析・研究の方法論」とありますが、いわゆる「風が吹けば桶屋が儲かる」的な、全てが関連しているというアプローチです。
一つひとつの事項を単純に覚えていっても、東大の「その背景には何があったか」という問いにはなかなか対応できません。
現役時代は、しっかり各事項を覚えてから知識をつなげていこうと思っていたのですが、結局つなげる余裕はありませんでした。
それならいっそ、覚えてから知識をつなげるのではなくて、知識をつなげた状態で覚えてしまったほうが良いのではないか。そう思ったのが、オリジナルの資料ノートをつくり始めたきっかけです。
コピーした白地図をベースにした資料ノートには、地形・産業・気候などあらゆる要素を書き込んでいきます。そしてそれらを、「風が吹けば桶屋が儲かる」のように関連づけて丸ごと覚えるように心がけました。
東大の過去問でわからない内容が出てきたときも、随時、白地図に情報を追加していきました。
そうしているうちに、ぎゅうぎゅう詰めの細かい資料ノートが完成したのですが、これが大正解。
ひとつのキーワードからその事件や地域に関連する情報が、すらすらと思い浮かぶようになったのです。 (桜雪『地下アイドルが1年で東大生になれた! 合格する技術』辰巳出版) ~