9月12日。文化祭片付け。午前中で終えて、新しい譜面を配る。午後は自由に練習したいということで、集合なしの勝手に練習しようデーになった。
夕方「四月は君の噓」を観にウニクスに行ったら、部員と出会ってしまう。「君の名は。」を観に来たという。いいなあ、これから観られるなんて。文化祭を終えて仲のいい友人とあの作品を体験できる幸せといったら。共学校だったら、もう、すごいことになるはずだ。
広瀬すずちゃんの、バイオリンの弾きっぷりはなかなかのものだった。左手はビブラートもかけていたし。「海街」でサッカーボールを蹴っていたと思えば、すぐに百人一首も覚え、今回はバイオリン。さらに福井商業高校チアリーダー部「JETS」をモデルにした映画も撮影中で、チアの特訓中だとも聞く。
十代後半の女の子で、ここまでいろんなものを体験し、ハイレベルに身につけた子はいないだろう。それができること自体が彼女のポテンシャルということなのだろうが。彼女の三倍も生きている自分にできることが何かと思ってしまうとさびしくなる。書ける漢字は多いかな。でも二週間ほど特訓されたら簡単に抜かれるだろう。漢検を目指すJK映画とかあったら間違いなく抜かされる。
コンテストの本番前、伴奏の山崎賢人くんにすずちゃんが言う。
「思い切って恥かこうよ、二人で!」
「君は自由そのものだ」
「ちがうよ、音楽が自由なの」
くうぅっ。そうなんだよ、音楽は自由だ。その自由を本格的に手に入れるのは、ものすごく大変だ。
自分が高校生なら絶対観ないタイプの青春映画だが、今は楽しめる。
だめなのは、山崎賢人。おまえピアノが弾けなくなったとかでいじいじしてるんじゃねえよ。それマイナスじゃないから。ふつうは、ピアノ弾けないし、かっこよくもないんだよ。
人はうかつに早熟の才能をもつと後で苦労する場合もあるという教訓があるとも言える。大器晩成にかぎるね。おれなんか未だに成ってないから、今後どれほどの大器になるかと思うとドキドキしてくる。賢人くんを越えるモテ男になる日も来るやもしれぬ。
役者さんの仕事ぶりでは、石井杏奈さんがせつなくてかわいい。今後ますます楽しみな女優さんだ。
あと、すずちゃんは、あの役を演じるには健康的すぎないですかね。