水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

語彙力

2016年09月29日 | 学年だよりなど

 

  学年だより「語彙力」


 どんな競技でも、身体技能が同じであれば、170㎝、60㎏の人は、180㎝、75㎏の人に勝てない。
 小さい方が有利という場合も局面によってはあり得るが、スポーツにおける身体そのものの優位性は動かしがたい。軽自動車はコーナリングでは有利でも、レースそのもので2000CCの車に勝てないように。
 大きい人に勝つためには、それ以上の身体能力が必要であり、技術を身につけなければならない。同じ技量ならば大きい人が勝つ。
 ただ、身体のサイズばかりは、努力でなんとかなるものではないのも現実だ。
 現在170㎝の人が来年までに180㎝になりたいと思って努力しても、結果が出る人はごくわずかだろう。そのわずかに入る人は実際は努力しなくても180㎝になるはずだ。
 サイズそのものはなんともならないからこそ、運動部のみなさんは技量を身につけるべく練習し、身体のポテンシャルを高めるトレーニングをし、筋肉そのものの量を増やそうと手を尽くす。
 頭脳はどうか。
 持って生まれた脳の性能は、人によって異なる。
 努力によってみんながボルト選手や伊調選手になれるわけではないように、勉強したからといって必ずiPS細胞を発見できるわけではない。
 人類の発展に貢献できるほどの頭脳をもちうる人は、イチロー選手と同じように限られている。
 では、100の能力をもつ今の脳を、来年150にすることは難しいだろうか。
 わかりやすい数字で言えば、河合模試偏差値40の人が60になるのは、難しいだろうか。
 結論から言えば、なんでもないと言える。
 トレーニング場にいってベンチプレスをしてみたら、20㎏に満たないシャフトさえ挙げられない人もいるだろう。しかし、それはベンチプレスをやったことがないだけだ。普通に練習すれば、自分の体重分までは確実に伸びる。
 偏差値40切ってる状態とは、勉強のやり方を知らないか、勉強経験がないかというレベルだから、やり方を習って普通に練習すれば、すぐに60㎏ぐらい挙がるようになる。
 その程度の筋力は、いまのみなさんならすぐにつくだろう。うらやましい。
 同じ程度に頭脳の性能をあげるのは簡単だ。
 脳の体積そのものはもちろん増えないが、言葉を覚えることによって性能はぐんとアップする。
 「語彙力」が、脳の性能のベースだ。知っている言葉の総和を語彙という。
 人は、持てる言葉の範囲でしか頭を使えない。逆に言うと、言葉を増やせば脳の働き方は大きく変わる。言葉をもっているということは、ちょうど身長が大きい人、体重が重い人のように、脳そのものが大きいことになる。
 だから先日の「合格体験談」で宮下先輩が言っていた言葉はものすごく腑に落ちる。


 ~ 自分のなかでは、英単語を覚えるのは勉強に入れてなかった。はみがきと同じレベルの習慣だった。(宮下凌也先輩)~


 言葉を覚えることは、考えるための手段を身につけるということだ。

コメント
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