水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

言い換え力(2)

2019年01月19日 | 国語のお勉強

    言い換え力(2)

 評論文の筆者は、自分の主張を伝えるために、様々な言葉を用いて説明する。
 同じ言葉をそのまま繰り返すのではなく、様々な次元の言葉で説明し、読者の理解を得ようとする。つまり「言い換え」によって説明していくのである。
 「言い換え」られた内容と、もとの内容とは「相似」の関係になる。「相似」表現を発見できれば、繰り返し述べられている内容が明らかになる。キーワードの発見にもつながる。
 「相似」表現は、次のような「言い換え」で成り立っている。

1 語句レベルの「相似」表現

a 語種、語感による「言い換え」
 ① 文字数を換える
 (例) 個=個人 礎=基礎
 ② 和語、漢語、外来語を言い換える
 (例) 考える=考慮する
     ほのめかす=示唆する
     思い・考え=思念・観念
     十分とはいえない=不十分だ
     伝え合い=コミュニケーション
     なかだち=媒体=メディア
     つくりごと=虚構=フィクション
     わざ=技術=テクニック
 ③ 文語・雅語的な語、口語・俗語的な語の言い換え
 (例) 最近=今日(こんにち)
          ~で=~において
     うそでない=いつわらざる

 簡潔性や表現の重々しさが好まれる評論文では、漢語、外来語が多様される。
 説明がすすむにしたがって、より凝縮した語句に言い換えられていくことが多い。

b 意味・イメージによる「言い換え」

 ① 意味の近い語に言い換える
 (例) 規格=同質=画一
 ② イメージの近い語で言い換える
 (例) 跳躍=はばたき
     希薄化=解体=没落
 ③ 比喩で言い換える
 (例) 編集能力=料理の腕
     学者や批評家=知的料理人

 本来の意味はまったく異なる語であっても、同じ内容の言い換えである場合がある。
 とくに名詞の使われ方は、筆者によって相当に恣意的である。
 だから、言葉そのものの意味よりも、「+(プラス)」イメージの言葉か、「-(マイナス)」イメージの言葉かを意識し、「言い換え」であると判断していくとよい。

c 内容説明的な「言い換え」
 ① 指示表現
 (例) これは、それらが、…
     人間中心の見方は=この観点は
 ② 内容を詳細化したもの
 (例) 感性=独特の好み
     真面目な聴き方=集中的・精神的な聴取行為
     個性的でありたいという欲望=平均性を嫌い個性的であろうとする意志

コメント
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