~ ヒト以外の生物はみな、種の保存が唯一無二の目的で、基本的に個体はそのためのツールでしかないのだけれど、ヒトだけは個体の生命の価値に気づいて、それを最大限尊重する道を選んだ。逆に、個と種(ホモ・サピエンス)のあいだに、国と民族といった別の帰属システムを作り出してしまったのでややこしくなった。(福岡伸一「パンタレイ パンタグロス520」週刊文春) ~
週刊文春で必ず読む、福岡先生の連載にこんな文章があった。
ヒトとヒト以外の生命体の違いを、こんなにわずかな字数で言い切ってしまえるなんて。
著書『生物と無生物のあいだ』を読んだ韓国の高校生たちが尋ねてきたので、大学(青学)に招き、そんなミニ講義をしてあげたそうだ。さらに、
「君たち若い世代がそんな問題を少しずつ溶かしていってくれることを期待しています。」
と続く。
なるほどね。だが、「種の保存」「個の尊重」と並ぶ、もしかしたら時にはそられ以上のよりどころになってしまう「帰属システム」については、問題の解決に向かうのは難しいと考えるのが妥当なのかもしれない。
個の価値を守るためにこそ作られたはずの、組織、集団、共同体というシステムが、それ自体の維持を個より優先させてしまう場合が生じることがある。
いじめやパワハラなど、教育現場における様々な問題も、この観点で捉え直してみると糸口が見つかるように思える。
一昨日が単願、併願1入試、今日が特待生入試で、明日併願2入試。
おかげさまで、今年もたくさんの中学生が受験してくれる。一昨日の面接では、入学したら吹奏楽をやりたいと言う子もいた。
「川越東高校を選んだ理由は何ですか?」という、ほぼ全員に聞く質問に、さわやかに「はい、成績がちょうどよかったからです!」と答える生徒さんがいた。たぶん初めて聞くけど、むしろすがすがしかった。
「趣味特技欄」に読書や映画鑑賞と書いてあると、具体的に質問する。その内容も時代とともに変化していることを感じる。
この欄に「ゲーム」と記入する例は以前はなかったなあとも思う。
想定する質問に用意してきたとおりの答えをするだけの場合でも、けっこうその生徒さんの個性はにじみ出る。
どれくらいのお子さんが、本校に帰属してくれるだろう。