言い換え力(3)
2 文レベルの「相似」表現
以下の表現は、それぞれ(①は①の例どうし、②は②の例どうし)同種の構造である。
同じ構造の文で述べられる内容は、「言い換え」である可能性が高い。
① 対比を示す表現
(例) ……。だが、――
……。しかし、――
……。一方、――
……ではなく、――
……に対して、――
……とは逆に――
……と言うよりむしろ――
……は――となっていった。
② 定義・主張を表す表現
(例) ――である。
――ではないだろうか。
――なのである。
――必要がある。
――はずだ。
――なくてはならない。
③ 限定する表現
(例) ――の場合は
――にとって
――のみ
――だけ
――ばかり
ただし――
もっとも――
④ マイナスイメージの付加表現
(例) ……などというものは
……ですら・ さえ
……でしかない。
……と言わざるを得ない
このc・④はb・②とともに特に重要だ。
マイナスイメージの語句、表現をチェックし、重ね合わせて読む。
この作業によって、筆者が何を批判しているのかをつかんでいくことができる。
3 語句・文・段落内容の「相似」表現
① 具体例での言い換え
② 引用による言い換え
③ 比喩による言い換え
1・2とも重なるが、段落レベルにまで及ぶ「言い換え」がある。
たとえば、一つの段落そのものが、その前の一語、一文、一段落の具体例となっているような場合である。
以上の要素に気をつけて読むことで、評論文全体の構造が明らかになっていく。