学年だより「反復(2)」
歯磨きが面倒でたまらない、できれば一週間に一度で済ませたいというヒトは、たぶんいないだろう。でも幼い頃、「早く歯磨きしなさい!」と言われながら逃げ回っていたことはなかったか?
いま苦痛でないのは、それが習慣化されたからだ。
毎日の繰り返しによって、するのか、しないのかを迷う対象ではなくなっている。
どうしようかと迷わない状態を習慣という。
今日はさぼっちゃおうかなと、考えてしまうなら習慣になっていない。
「今日は素振りはやめておこうかな」とイチロー選手が悩んだり、「今日は体を動かさずに一日コタツでスマホ見てようかな」と大迫選手が迷っている姿は、想像できない。
意志決定にはエネルギーが要る。
些細なことに脳のエネルギーを消費したくない、服なんかに自分の意志決定を使うのはもったいないと、スティーブ・ジョブズ氏が毎日同じ服装(黒のタートルにジーンズ)をしていたのは、有名な話だ。
今日は、何から勉強しようかな、どうやろうかな、そもそもやろうかなと考えているだけで、貴重な脳エネルギーを消費していく。
帰宅したらまずは英単語、それから御飯、風呂、数学、腹筋と決めてしまえばいい。
漢字を10個でもいいし、計算問題を5問解くでもいいし、Vintageを1セクションでもいい。
朝起きたらシャドーイング1セット、はみがき、ごはんという流れをつくっておけばいい。
同じことを繰り返していても、もちろん全く同じように反復することは不可能だ。
~ 脳は、「改善」が好きです。
一見、改善と反復は相反することのように見えます。
ところが、選手が反復することによって、脳は「もっと、いいやり方はないか」と改善するのです。
違うことをされると、せっかく脳が改善しようとしているのに、改善できないのです。
練習で、できなかった場合は、脳は「どうしたら、できるだろうか」と考えてくれます。
練習でできたことも、脳は「今のことを、もっとうまくするには、どうしたらいいだろうか」と考えてくれます。
練習とは、体を反復させることによって、脳を改善させていくことなのです。
練習の後、体以上に、脳がへとへとになっています。
そしてまた、脳は、ヘトへトになるのが好きなのです。
反復していると、集中力が研ぎすまされてきます。
集中するから、反復できるのではなく、反復するから、集中力が研ぎすまされていくのです。 (中谷彰宏「メンタルで勝つ方法」ボウリングマガジン12月号) ~
単純なことの繰り返しが、実は脳を成長させる。
勉強の「インナーマッスル」が知らず知らず肥大化し、すべてのパフォーマンスを高める。