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メモリークエスト 高野秀行

「本の雑誌」に短期連載されていた「名前変更物語」が大変面白かったので、急にまた著者の本を読みたくなった。著者の本はいくつか読んでいるが、読んでいない本もまだ多い。最近「放っておいても明日は来る」「メモリー…」と著者の本が2冊刊行されたというので、とりあえずこちらから読むことにした。
 本書は、誰かが「もう一度会いたいがたぶん探すのは無理」と思っている人を著者が代わりに探しにいくという趣向のルポ。当然探しにいく先は「辺境地域」「危険地帯」で、探したい人の情報も「こんな情報だけで探せるのか」と思うほど少なく不確かだ。筋書きのない探索にもかかわらず、どうしてこんなに次から次へと面白い話になるのだろうと感心しているうちに、ほとんど無理と思われる探索をどんどん解決していってしまう。これこそ著者にしかできない作業だなあと感心してしまう一方、世の中とは案外そういうものかもしれないなぁと妙に楽天的な気分にしてくれる。(「メモリー・クエスト」高野秀行、幻冬舎)
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