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大河ドラマ入門 小谷野敦

本書は、48歳の著者が、同じく48年目を迎えたNHK大河ドラマを様々な視点から分析した薀蓄本である。大河ドラマの原作者、俳優、脚本家をばさばさと自分の好き嫌いで切っていく様は、こんなにあちこちに向けて悪口を言って大丈夫かと思うほどだが、徹底して自分の好き嫌いで押し通しているので、それも「大河ドラマが好きなればこそ」と笑って済ませてしまえる気がする。大河ドラマの放映と並行して原作を読んだことなどなかったので気がつかなかったが、大河ドラマの「原作」というのはかなりいい加減なものなのだそうだ。原作というのは、文化勲章・文化功労賞級の大作家の名前を借りただけのもので、ストーリーが原作と違うのは常識ということらしい。歴史の解釈が原作と逆ということなど日常茶飯事、ストーリーのほとんどを脚本家が作っているというのも当たり前という状況なのだそうだ。その脚本家にしても、大変いい加減で、「おんな太閤記」の脚本家が、別の作家の本の架空の人物を歴史上実在の人物と勘違いして大河ドラマに登場させてしまったという話には笑ってしまった。(「大河ドラマ入門」小谷野敦、光文社新書)
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