goo

天国はまだ遠く 瀬尾まいこ

著者の本はこれで4冊目か5冊目だが、これまで読んだ作品のなかでも特に優しさにあふれた作品のような気がする。自殺をするために旅をしてきた主人公が、その地で、優しい人に触れ、自然に触れ、再生のきっかけを掴むという話だが、そんなに追い詰められた人でなくても、大いに共感してしまい、何となく肩の荷をおろしたような軽い気分になるし、ある意味では大変勇気づけられたような気分になる。小品だが、これまでにこんなに柔らかな文章を読んだことはなかったのではないかと思うほどで、読んでいていろいろな物語の設定がほとんど要らないのではないかと思ってしまえるほど、文章だけを追うのが楽しい傑作だと思う。(「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ、新潮文庫)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )