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万能鑑定士Qの事件簿Ⅹ 松岡圭祐

前作について、長期シリーズものなので、主人公の特殊能力の進化の速度の調整が難しいと書いたが、本作では一気に過去に遡り、最初の作品の前の事件が語られるという工夫がなされていた。主人公がその特殊能力を身につけるきっかけになった事件ということになるのだが、それが説得力があるかどうかは別にして、十分に主人公のキャラクターが定着したところで、そうした回を持ってくるというのも実に上手く計算されているなぁと感心した。全体の流れの中での本書の位置づけはサイド・ストーリー的な感じだが、最後にこれまでに別の事件で登場してきた人物達の過去についても少しずつ語られており、何か大きな転換の前触れを思わせる作品になっている。(「万能鑑定士Qの事件簿Ⅹ」 松岡圭祐、角川文庫)

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