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陽だまりの偽り 長岡弘樹

昨年ブレイクした「傍聞き」の前作にあたる第一短編集。作者の第2短編集「傍聞き」を読んだ後、すぐに本書を探して数件本屋さんをあたったが入手できず、ネットで買うしかないかと諦めかけていたが、最近ようやく横浜の行きつけの本屋さんで見つけることができた。「傍聞き」を読んだ読者ならば当然本書を読みたいと思うはずで、そうした要望にいち早く応えること、小さな本屋さんには酷かもしれないが、本屋さんの価値というのは、やはりこうした本をいかに早く店頭に並べられるかだなとつくづく思った。本書の内容だが、路線は「傍聞き」とほぼ同じで、これが本当に処女短編集なのかと思うほど、質の高いミステリーが収録されている。誰かの不可思議な行動がミステリーの中心にあり、その背後にある善意や悪意が判明した時の驚きがたくみに文章によって描かれている。第3短編集ももうすぐ上梓されるとのことなので、そちらも期待したい。(「陽だまりの偽り」 長岡弘樹、双葉文庫)

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