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先生はえらい 内田樹

ちくまプリマー新書の「特別授業」シリーズの1冊。同シリーズは、各分野のオーソリティーや有名人に、それぞれ1つのテーマについて「講義形式」で語ってもらうという面白い趣向のシリーズだ。本書では、思想家・文筆家の内田樹が、軽妙な語り口で、「人生の師に巡り合うための秘訣」を伝授してくれる。著者の本であるから、当然一筋縄ではいかないのだが、最後に用意されたその「秘訣」には大いに納得させられる。著者が書きたかったのは、おそらく「張良が師である太公望の沓を2度拾う」というエピソードの著者自身の解釈であり、「師は弟子が答えを見つけ出す正にその時に答えを与える」という思想家ラカンの言葉だったと思われる。羊頭狗肉の新書が多い中、本書は、著者が「新書で語れることの限界」を熟知しており、あまり多くのことが書かれていないことが逆に本書を満足度の高い1冊にしているように思われる。(「先生はえらい」 内田樹、ちくまプリマー新書)

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