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土漠の花 月村了衛

非常にスリリングな小説で、寝る前に最初のところをちょっとだけと思って読み始めたのだが、なかなか本を置いて寝る気になれず、困ってしまった。圧倒的に不利な状況のなかでの主人公達の奮闘がとにかく面白く、主人公達と一緒に緊張したりホッとしたり、喜んだり悲しんだりという、まさに小説を読んでいるなぁという実感が満点の作品だ。最後の最後までその緊張感が途切れないところがすごい。こうしたご時世なので「政治的なメッセージ」を読み取ろうとする書評もあるが、本書は純粋に「極限状態に置かれた人間の尊厳」ようなものを描いた作品として、心に残る。(「土漠の花」 月村了衛、幻冬舎)

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