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雨のち晴れ、ところにより虹 吉野万理子

神奈川県を舞台にした味わい深い小編が収められた本書。地元の作品に特別の感銘を受けるかもしれないと思いながら読んだのだが、本書の良さはそんな小さなものではなかった。地元のよく知った地名が次から次へと出てくるが、実際にその土地の風景を思い起こしたりすることもなく、作品の素晴らしさに浸ってしまった。むしろ、全く知らないところの話、あるいは架空の地名の話の方が、この小説世界に浸るには良かったかもしれない。短編の中には、すこし中年男子には理解しにくい場面もあったが、読み終えた後に心に残る何かがとても大きく感じられた一冊だ。、(「雨のち晴れ」  吉野万理子、新潮文庫)

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