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危険なビーナス 東野圭吾

突然行方不明になった弟を、その兄と弟の妻が一緒に探すというミステリー。この異父兄弟の間には色々複雑な事情があり、とにかく一筋縄ではいかない。16年前の母親の不審な事故死、兄の父親の死亡前の突然の変容、その父が最期に描いた絵の消失、資産家の祖父の財産を巡る親族間の疑心暗鬼、何となく違和感のある弟の妻の挙動などなど、何が話の中核にあるのか分からないまま、いつの間にか残り数十ページになってしまい、話はどこに行き着くのかと心配になったところで、急転直下思わぬ結末へと収束する。とにかく読んでいて楽しいし、最後の展開の意外性も十分なエンターテインメント作品だ。それから、話の中核として登場する「ウラムの螺旋」だが、全くの初耳で、こんな話があることに心底おどろかされた。(「危険なビーナス」 東野圭吾、講談社)

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