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掟上今日子の家計簿 西尾維新

シリーズ7作目だが、このシリーズ作品には、隠館厄介が登場する作品と、警察関係者の視点で語られる作品の2種類があり、それぞれがサブシリーズのようなものを構成している。本書は後者の方の作品だ。前者の作品は、当然ながら「隠館厄介」と主人公の関係がストーリーの重要な部分を占め、ミステリーとしての面白さに2人の行く末を見守るという興味が付け加わる。一方の警察関係者の視点で語られる後者の作品は、そうした制約がない分、実験的なミステリーという要素が強くなっている気がする。本書などは、こうした短編集にしてしまうのはもったいないほど奇抜なアイデアの実験的な作品が並んでいて、いつもながらのことだが本当に感心させられる。それぞれの作品には違う警察関係者が登場するのだが、それらがこれまでに登場した人物なのか、あるいは全て初登場なのか。確認すればすぐに判ることだが、多分全員初登場なのではないかという気がする。これらの作品の実験的な内容をみるにつけ、過去の作品というしがらみすら作者には邪魔なものという感じがするからだ。(「掟上今日子の家計簿」 西尾維新、講談社)

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