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金正恩と金与正 牧野愛博

最近の北朝鮮について様々な観点から解説してくれる一冊。今年初めにアメリカのバイデン新大統領が北朝鮮に対する基本政策を公表。それに対して沈黙を続けていた北朝鮮だったが、本書を読んでいたらちょうどTVで、金正恩がアメリカの北朝鮮政策に対するコメントを出したというニュースが流れていた。本書は5月下旬の情報まで書かれていて、現在進行形の出来事とドンピシャリと繋がる一冊。ここまでタイミングの良い本は、フットワークの軽さが信条の新書でもなかなかないと感心した。内容も豊富で、金正恩の妹の金与正が降格になった背景、異母兄弟金正男暗殺事件の顛末、戦略的忍耐を掲げたオバマ政権や北朝鮮との一括交渉を目論んだトランプ政権が何を読み違えたのか、今年1月に5年振りに開催された党大会で分かったことなどなど、知らなかった話が次々に書かれていてとにかくためになった。なかでも一番ショックだったのは、すでに北朝鮮が日本を標的にした核攻撃の準備を完全に完了しているという話。韓国や中国とギクシャクしている場合ではないと、とても心配になった。(「金正恩と金与正」 牧野愛博、文春新書)
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