goo

宙ごはん 町田その子

叔母に育てられた主人公が実母と暮らすことになったことをきっかけとして、新しい家族や学校の友人達の個々の思いと現実との軋轢を様々な形で見聞きしながら、自分を見つめ成長していく物語。「男だから」「女だから」「長女だから」という考え方に縛られてきた前世代の苦しみや秘めた思いを知るにつれて、新しい形の「家族だから」を模索する主人公は、様々な個々人の属性から解き放たれたとしても、時間や空間を共有した「家族」という属性は残るという考えに至る。その空間と時間を共有したという記憶をつなぎとめるのが、食べた料理でありそれを作った人の思いだ。最後の章で明かされる主人公の決断がそれを如実に語っている。(「宙ごはん」 町田その子、小学館)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )