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カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは凶暴、イルカは温厚って本当か? 松原始

多分これまでに読んだ本の中で最も長いタイトルの本だと思う。著者の本は、色々な動物学の知識が学べるという即物的なメリット以上に、とにかく随所で笑える文章満載というのが魅力だが、おそらくこのタイトルも著者のそうしたウケを意識した遊び心の結果だと思われる。内容は、いつも通り様々な動物の生態の啓蒙書で、自然界には面白い生物がいるなぁ、皆んな頑張って生きているなぁという感じだが、そうした記述の中で首尾一貫しているのは、動物を人間の尺度で判断したり擬人化してしまうことへの警告、自然界と向き合う時に固定観念を持つことへの戒めで貫かれていることだ。なお、本書の前に読んだ著者の本は全く図版が無くて生物の名前が出てくるたびにネットで画像検索しなくてはならず閉口したが、本書も一応少し図版が掲載されているもののやはり数ページに一度は読書を中断して画像検索しなければならなかった。特に、コモリガエルの不気味さ、アオミノウミウシのフォルムの美しさ、コトドリの羽飾りの奇抜さなどは、画像を見てこんな生物がいるのかと心底驚いた。(「カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは凶暴、イルカは温厚って本当か? 松原始、ヤマケイ文庫)
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